フェイスブックが、モバイル広告で稼げる理由 ネット企業にとっての希望の光

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7月25日、米フェイスブックの第2・四半期決算は、モバイル広告事業が好調だったことなどから売上高が予想以上に増加したが、このことはスマートフォンの小さなスクリーンの中で収益を上げようとするネット企業にとって希望の光をもたらしたと言える。ボスニアのゼニツァで5月撮影(2013年 ロイター/Dado Ruvic)

[サンフランシスコ/ニューヨーク 25日 ロイター] - 米フェイスブックが24日発表した第2・四半期決算は、モバイル広告事業が好調だったことなどから売上高が予想以上に増加した。このことは、スマートフォンの小さなスクリーンの中で収益を上げようとするネット企業にとって希望の光をもたらしたと言えるだろう。

フェイスブックのモバイル広告は前期比で75%の急伸。ウォール街の金融業界とマディソン街の広告業界が同社の事業見通しに抱く疑念を打ち消しただけでなく、スマホやタブレット型端末の利用が急速に伸びる業界において、他のネット企業にとっての道しるべになり得るとの声も聞かれる。

好調な決算の原動力となったのはユーザー投稿の間に表示されるニュースフィード広告だが、マッコーリー・リサーチのアナリスト、ベン・シャクター氏は「非常に効果的であるため、多くの会社がこのモデルに移行したり、模倣したりするだろう。昨夜(24日夜)が重大な分岐点となった理由はそこにある」と語る。

ネット企業幹部らはこれまで、モバイル広告が従来のデスクトップPC向け広告より利益が上がらないと懸念してきた。スマホの画面サイズやユーザーが大量の広告を嫌う傾向にあるためだ。

グーグルやヤフーといった大手からスナップチャットなどの新興勢まで、ネット企業はどこもモバイル事業を収益化する方法を模索している。グーグルはモバイル広告事業を年間売上で推定約100億ドルに拡大させたが、デスクトップ向けの検索連動型広告と比べると、その規模ははるかに小さい。アナリスト予想によると、同社の今年の総売上高は600億ドルに上るとみられる。

収益化を模索する1つの方法として、広告と明示せずコンテンツと融合させた形で配信する「ネイティブ広告」が業界では拡大しており、これまでのところ、さまざまな成功例が出ている。

フェイスブックに先んじて投稿の間に表示される「インストリーム広告」のアイデアを編み出したツイッターも、モバイル広告から利益を上げる好位置にいるようだ。調査会社eマーケッターのクラーク・フレドリクセン氏による推計では、ツイッターの今年度売上高の半分以上は、モバイル広告からの収入になるという。

ビジネス向け交流サイトのリンクトインは今週、モバイルとデスクトップ向けサービスの両方でインストリーム広告を開始。ヤフーは既に同様の広告を始めており、5月には新たなサービスの開発に向けた強化策の一環として、ブログなどを手掛ける「Tumblr(タンブラー)」を11億ドルで買収した。

しかし、広告業界に対してモバイル広告事業を最も積極的にPRし、それが実を結んでいるように見えるのは、1年前はモバイルからの収入がゼロだったフェイスブックだ。

米広告大手インターパブリック・グループ傘下であるAnsibleのアンジェラ・スティール最高経営責任者(CEO)は、「今はモバイルが唯一の注力ポイントだと断言する企業はほかにはない。フェイスブックはその1つにすべての希望を託している」と語る。

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