創業社長を追放したジャフコ「謀略」の誤算 経営者解任に乗り出したジャフコ。そこに落とし穴が……

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不明瞭な解任理由

会社経営に詳しい弁護士は「経営者に不正の疑いがある場合には、隠蔽工作を防ぐために、電子メールを使えないようにして連絡手段を断つといったやり方も正当化される」と説明する。ただ、今回の一件では小林氏に明確な不正があったわけでもなさそうだ。本誌の取材に松谷社長は「小林前社長の解職に当たり、法に触れるような不正行為があったとは認識していない」と答えている。

それではなぜ、小林氏は突然のクビを宣告されたのか。

取材に応じた小林氏は、自身が受けた仕打ちに今も納得が行かない様子だ。「業績不振、会社存続の危機というのは言いがかりにすぎない。ジャフコと現社長による非道な仕打ちは断じて許すことはできない。今後、裁判も含めて徹底的に戦い抜く覚悟だ」と小林氏は語る。

小林氏は「非道な仕打ち」として次の出来事を挙げている。

(1)突然の解任で収入の道を閉ざされた。退職金も支払われぬ一方、銀行借入の連帯保証人はいまだに解除されないままになっている。

(2)会社によって生命保険募集人の資格を剥奪され、ソニー生命時代に自身で獲得した約3000件の保険契約も移管できないようにされた。

(3)「粉飾決算でクビにした」「私的に会社のカネを使っていた」などと身に覚えのない虚偽の説明を役員がしていることを、社員や取引先から聞いた。

そのうえで、「一連のやり方はあまりにも恣意的だ」と小林氏は本誌の取材で主張している。

一方、松谷社長は、小林前社長を辞めさせた理由について、次のように説明している。

「実質2期連続の赤字および資金繰りの悪化という危機的状況が主因だ。再三にわたる改善の進言にもかかわらず、状況の改善に向けた対応が取られないことにあった。当社は見掛け上は高成長に見えても、資金繰りは火の車。小林前社長には無理な出店をしないようにいさめたが、聞く耳を持っていただけなかった。社長解任は会社と社員を守るためにも、やむをえなかった」

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