「無届け」出会い系アプリ運営で初の逮捕者 何が法規制の対象になるのか
いわゆる「出会い系サイト」については、「出会い系サイト規制法」が設けられて、事業者の届出制・児童の排除・児童への誘引行為の禁止が定められています。
同法では出会い系サイト(インターネット異性紹介事業)を次のように定義しています。
「異性交際(注:面識のない異性との交際)を希望する者の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業」(2条2号)
この定義に当てはまる限り、SNSや掲示板であっても、実情が知らないうちに法律の要件を満たしてしまい、出会い系サイトとして規制を受けることがあります。かつて、mixiやGREE、DeNAなどが、警察から警告を受けています。逆に一般には「出会い系」と認識されていても、法的には違うというパターンもありえます。
なぜ出会い系アプリは摘発されてこなかったのか?
定義のポイントの1つは、面識のない異性との交際(異性交際)に限定されているということです。同性との交際を目的とする場合には適用されません。これは、制定当時、そういうサイトで、もっぱら女子児童が、男性から性犯罪・福祉犯・強盗などの被害に遭うことが多発したので、ピンポイント的に悪質な行為だけ規制したためです。
また、「異性交際希望者と相互に連絡」という部分も重要です。出会い系アプリについては、一般的に定義の前半部分には該当しますが、サイト内メールなど「1対1」でやり取りする機能がない場合があります。
たとえば以前、私が調査のために、何種類かダウンロードしてみたときには、LINEやカカオトーク経由で連絡する仕様のアプリが多くありました。こういう場合は、「電子メールその他の電気通信を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する」に該当しないと解釈されています。
そのため、この種のアプリには、出会い系サイト規制法は適用されにくいと理解されていました。実際に出会い系アプリで、公安委員会への届け出をしている業者はあまりいないのではないかと思います。