「金正男暗殺」は、20年前の事件とソックリだ 故・金正日総書記のいとこ暗殺も2月だった

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これについて、金正男氏の行動を24時間体制で監視してきた北朝鮮は、彼が中国とマレーシアを行き来していることを把握していたようだ。彼の亡命を現地で阻止しようとする関係者が最近、中朝国境を接する北朝鮮の新義州市から中国入りしたという話も聞こえてくる。

もう一つ、有力な仮説がある。2013年12月に処刑され、かつては北朝鮮のナンバー2と言われた張成沢氏の残存勢力を一掃するために行った、というものだ。金委員長を公に反対する「目の上のたんこぶ」のような金正男氏を除去することは、金政権にとって至急の課題だった。金正男氏が北朝鮮に残っているシンパを動かそうとする動きを把握した金委員長があわてて殺害を指示した、との仮説だ。張成沢氏が金正男氏と親密な関係にあった証拠はいくつかある。

事件の時期、場所に不透明感漂う

ほかの仮説も成り立つ。家族とともに北朝鮮に戻るように、との命令を金正男氏が拒否し続けたため殺害したに過ぎない、という可能性もある。ただ、この仮説だと、なぜこの時期なのかという疑問が残る。また、空港という公の場で事件を起こした理由を説明できない。

金正男氏は2004年にはオーストリアで、2009年には北京で暗殺されそうになったことがある、ともいわれている。2009年に北朝鮮・人民武力相だった金永春が中国を訪問したのも、金正男氏の暗殺未遂を中国当局に謝罪するためだったという話もある。

ロイター通信は2月15日、ある消息筋の話として「米国政府は北朝鮮の工作員が金正男氏を殺害したと強く信じている」と報じた。韓国の国家情報院も今回の事件を暗殺と見なし、金委員長の「永久の命令」で北朝鮮政権によって行われた可能性を強く指摘した。すなわち、政権基盤が弱い金委員長が金正男氏を体制を揺るがしかねない不安要因と見なし、自らの権力基盤を利用して殺害を指示したというものである。その真相が明らかになる日は、やってくるのだろうか。

イ・ジェフン 「ソウル新聞」記者
パク・ホンファン 「ソウル新聞」記者
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