東芝「解体」OBが語り尽くした問題の本質 「原子力部門が優遇されすぎた」

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Bさん:綱川君には無理だよ、非難しても仕方ない。私はむしろ、社外取締役で指名委員会委員長などを務める小林喜光さん(三菱ケミカルホールディングス会長)の責任が大きいと思う。東芝がおかしくなると困る経産省に、便利に使われているように感じる。

「経営がお子様になった」

Dさん:東芝の文化として、OBがいつまでも本社に来ているのはよくないよね。今は相談役が廃止されたけど、顧問や社友などいろんな役職が残っている。ほかの大企業と比べるとOBに手厚すぎるきらいが昔からある。

現名誉顧問の西室泰三さんは、いろいろ言われるけど、事業を大切にし国のことを考えていた。じゃないと、東京証券取引所や日本郵政などの社長は引き受けない。同じく現名誉顧問の岡村正さんの次に05年から社長を務めた西田厚聰さんから、経営がお子様になったと私は感じる。西田さんというより、社内がそういう空気を作った。昔は社長は持ち上げられても有頂天にならなかったけれど、西田さんはその状況に興じてしまった。

Aさん:次に2009年から社長を務めた佐々木則夫さんは性格の難しさで有名。

Dさん:そう。リーマンショック後に半導体の業績が悪化し、原子力が重視されていく中で、原子力畑の佐々木さんが昇格する流れはわかるけど、社内に苦手な人は多かった。「(社員が渡してくる)1回目の書類は見ずに突き返したほうが次によくなる」と吹聴していたというし、コミュニケーションが下手な人だった。

Aさん:WH買収を決めたのは西田時代だけど、それを推し進めた佐々木時代の罪は大きい。佐々木さんが人の言うことを聞かないのは有名な話。WHについては引くに引けなくなっちゃったんだろう。だから綱川さんも社長になったばかりの昨年6月に「30年までに原発45基受注は可能」とか無理なことを言ってしまった。

Bさん:私の認識だとWH買収は西室さんの意向じゃないかな。それを受けて西田さんが「三菱(重工業)にだけは負けるな」とハッパをかけていた。買収の現場を仕切ったのが佐々木さん。

Aさん:いずれにせよ、WHは売ってしまったほうがいい。中国か韓国の企業が名乗りを上げる可能性もある。

Cさん:記憶が定かじゃないけど1990年後半ぐらいかな、国内電力会社が投資を絞り、重電部門がマイナーな存在になった。そうしたら今度は突然、経営陣が「原発、原発」と口にするようになった。

ノートパソコンやテレビなどは実績を残し、時々で「東芝の顔」となった。なのに、原発だけは実績を残す前から重要な将来のスターだと。その頃から、東芝は徐々におかしくなっていった気がする。

週刊東洋経済編集部
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