「こつこつ」という日本語が突き付ける現実

今の自分の行動が未来を切り開く

そんな背景もあり、私の好きな日本語のひとつに、「こつこつ」というものがあります。これは物がぶつかって生じる音の擬音としても使われる言葉ですが、たいていの場合は「地道に働くさま」や「たゆまず努め励むさま」の意味として使われていると思います。

この「こつこつ」に漢字を充てると「兀兀」(「兀」は「高くそびえているさま」)「矻矻」(「矻」は「たゆまず精を出して働くさま」「疲れ果てるさま」の意)となるようです。前者の漢字からは、「塵(ちり)も積もれば山となる」という文句が連想されます。きっと、人それぞれ「こつこつ」にまつわる物語があるのではないでしょうか。

「こつこつ」の英訳

では、この「こつこつ」という言葉を英語にしてみると、一般的には「steadily」(しっかりと)「untiringly」(根気よく)「laboriously」(苦心して)「work/study hard」(一生懸命働く/勉強する)というような英単語になります。ちょっとした慣用句だと「a little by little 」(少しずつ)「step by step」(一歩一歩)というような表現にもなります。

これらはどれも懸命さが感じられる表現ですが、私はどうもあっさりし過ぎる気がします。何か大事なことが語られていないように思えるのです。

では、その「何か」とは何なのでしょうか。それは、建物の1階がない2階が存在しないように、土台や基盤を築いているということです。私は「こつこつ」とは、これから発展していくための基礎を構築することを意味するのだと思っています。

多くの人は、幸せや成功は遠い先や未来からやってくるかのように幻想を抱き、先のことばかりに目や心を向けてしまいがちです。その結果、今の自分の足もとを見失いがちになり、足が宙に浮いてしまい、現実というものに足がついていない状態になっています。まさに1階を作らずして2階や3階を建築しているようなものです。

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