強烈なタブー、いったい「ブス」とは何なのか 自己啓発本にもなる一冊

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その代わりとして送られるエールは、論理的な説得力もあり、実に温かい。

“つまり、あなたが何かで成功した時「ブスじゃん」の一言で切って捨てようとしてくるやつが現れたとしたら、逆に「ブス以外、非の打ち所がない」と言われているのだと思って気にしないようにすればいいのだ。”

 

なんて励みになる言葉だろうか。 すぐ後ろに

“と言いたいが、それは「心臓が止まっている以外、元気」と言っているような気がしなくもない。”

 

とさえ繋げなければ…。

皆が美人を目指す必要なんてない

『ブスの本懐』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ブスの悩みの種となる「ブスなんだから、せめて愛想くらいよくしろ」という余計な御世話についても、「なぜ、自分を虐げるものにこちらが愛想よくしなければいけないのか。ブスにとって真に必要な女子力とは、そういう輩を一瞬で消し炭にする能力である。」と心強いアンサーを出してくれる。

ブスに生まれたからといって皆が美人を目指す必要なんてないし、ブスであることを必要以上に悔やみ、卑屈になることもない。ブスはブスという生き物である。それ以上でもそれ以下でもないただの現実だ。

ブスという言葉に縁のないファビュラスな美女、ブスを親の仇くらい憎んでいるお兄さん、そしてなにより自分がブスだと思い悩んでいる女性たちに読んで欲しい。

図鑑であり、雑誌であり、自己啓発本にもなる一冊だ。本書『ブスの本懐』を読めば、ブスという単語の破壊力が半減し、今までとは違う世界が見えてくるに違いない。 早く皆が本書を読んで、ブスのゲシュタルト崩壊を起こし、ブスとは何なのか分からなくなってしまう世界が来て欲しいと願ってやまない。

篠原 かをり 作家

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しのはら かをり / Kaori Shinohara

作家。1995年横浜生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院在学中。幼少の頃より生き物をこよなく愛し、自宅でネズミ、タランチュラ、モモンガ、イモリ、ドジョウなど様々な生き物の飼育経験がある。
これまでに『恋する昆虫図鑑~ムシとヒトの恋愛戦略~』(文藝春秋)、『LIFE―人間が知らない生き方』(文響社)、『サバイブ<SURVIVE>-強くなければ、生き残れない』(ダイヤモンド社)、『フムフム、がってん!いきものビックリ仰天クイズ』(文藝春秋)、『ネズミのおしえ』(徳間書店)などを出版。また「世界ふしぎ発見!」「有吉ジャポン」など、テレビやラジオで活躍。雑誌連載や講演会も積極的に取り組んでいる。

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