街づくりは「武蔵小杉化」だけが正解ではない 「スペック」で測れない街の魅力があるはずだ

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島原:だったら、雑多な横丁を都市の魅力として議論の俎上に載せる理屈をつくるために、何かしら数字に表す必要があるだろうと。

そこで、(1)人と人との関係が心地いいか(関係性の4指標)、そして(2)体が喜ぶか(身体性の4指標)、という2つの指標と、そこから分化した計32の指標を据えた、都市評価のランキングをつくるに至りました。

建築家ヤン・ゲールの『人間の街』という本の中では、都市の評価をする上で人のアクティビティを重視していた。そこで、僕たちも、都市の魅力を「動詞」で測ってみたらいけるんじゃないかと。そうして作った都市ランキングを2015年の9月に発表して、ありがたいことに発表直後から想像以上の反響をいただいています。

三浦:こういう対談だからおべっかを使っているわけではなくて、私は今本当に、島原さんへの嫉妬で狂っています(笑)。なぜ自分がこういう調査をやらなかったんだろうと。神社に行くことで「共同体に帰属している」と感じると定義するとか、広い意味での五感に視野を広げたのが成功の要因ではないでしょうか。

僕も、従来の都市ランキングには違和感があった。たとえば、吉祥寺の隣に西荻窪という街があって、ここに住んでいる人たちは本当に西荻が大好き。たまに来る人も、「この街いいな。どうしてこんなにいいんだ」と言うんだよね。でも、その理由って、よくわからない。特に気の利いた建物もないし、駅前は結構汚いし、パチンコ屋はセンスのないのが立ってるし。

つまり、ハードウエアを指標として評価すると、全然よさがわからないですよね。いわゆる、みんなが知っている人気のお店もないわけで。だからそれはおかしいなと。だとしたら、西荻がちゃんとベストテンにランキングされるような指標があるはずだと。

だから、僕の場合は、性別や学歴、年収といった属性で都市ランキングをつくった。それをまとめたのが、『あなたにいちばん似合う街』なんですね。そうやって分析してみると、西荻窪の場合、30代1人暮らし女性が住みたい街でランキングすると、1位。しかも、西荻窪に住みたい女性のうち、64%が4年制大学卒業(西荻窪が「30代おひとり様」を惹きつける理由)。

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