「君の名は。」は、観光産業も盛り上げている 日本人観光客誘致へ、バス会社が練る戦略

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高山や飛騨古川を地盤に、観光客と地元客の足となっている濃飛バス(写真:濃飛乗合自動車)

一方で、濃飛バスにはそれほど顕著な実需要が発生しているようには見えない。それにもかかわらず、さまざまな対応策を打ち出すのはなぜか。同社で企画管理を担当する岩切道郎取締役に聞いたところ「国内需要喚起の一環です」との明確な答えが返ってきた。

近年の訪日外国人観光客増加は、各種マスコミ報道で誰もが知るところだ。有名観光地に行くと周りから日本語が聞こえてこないというケースは、いまや珍しくなくなった。その典型例が高山だ。有名観光地の高山は外国人観光客がもともと多く、近年はさらに増加の一途をたどっている。特に欧米諸国からの個人旅行者が多いことが特徴で、他の地域ほど団体客に依存していないという。

個人旅行だと公共交通の利用が基本となるが、高山への来訪者数で見ると、高速バス利用者が鉄道利用者を急追する状況という。この点がマイカー利用の多い日本人観光客と異なる点で、濃飛バスとしては好ましい方向に見える。

ところが、外国人観光客が増えるにつれて、逆に日本人観光客は減っているというのだ。

外国人観光客増加の一方で日本人が減少

その顕著な例は「定期観光相倉(あいのくら)コース」に見られる。合掌造りで知られる白川郷と五箇山の相倉を訪れる定期観光バスで、高山を8時30分に出発し、15時10分に帰着する大人6,690円のコースだ。

もともと外国人に人気があったことから、2012年秋から日本語ガイドとともに英語ガイドも乗務するようにしたため、日本人と外国人の乗客数を正確に把握できるという。その違いは顕著で、2016年度は外国人が2013年度比で223.8%に達しているのに対し、日本人は2011年度比で53.5%とほぼ半減している。

これは英語ガイドを乗務させて、ネット上でその旨を記して予約を受け付けていることから、外国人の割合が特に多い例だ。しかし、他路線でも同様な傾向であることには変わりがないという。

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