カゴメのトマトジュースがバカ売れする理由 2016年2月のリニューアルが引き金に

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同社の寺田直行社長は、「2017年は、持続的に成長できる強い企業になるための、試金石となる年だ」と決算説明会で語った。カゴメは過去10年間に2度、営業利益が100億円に近づいた直後の大幅減益を経験している。

特に2012年、「トマトジュースが中性脂肪の改善に効く」という研究成果が発表されると、トマトジュース市場が1年で2倍に拡大するほどのブームが発生。カゴメの営業利益も2013年3月期に92億円をたたき出した。

だが、その後はブームの反動で市場が縮小。「野菜生活」などの野菜ジュースの販売不振も重なり、カゴメの営業利益は2014年3月期には27%減の67億円にまで落ち込んだ。以来、同社の飲料事業は低空飛行が続いていた。

今回、トマトジュースのリニューアルが成功を収めたとはいえ、飲料業界の競争激化による販売減少、トマトの相場高や円安による原料高騰といったリスクは変わらない。そこでカゴメは、1年前の2016年初から「トマトの会社から野菜の会社に。」を合言葉に掲げ、トマトに頼りすぎない経営体制への転換を模索している。

トマトの100年企業は変われるのか

ベビーリーフは熊本で栽培していたが、新たに山梨・北杜市の菜園からの出荷開始に向けて準備中だ(写真:カゴメ)

祖業である農事業では、「高リコピントマト」などの生鮮トマトだけでなく、健康志向や時短・簡便ニーズをとらえるべく、ベビーリーフやパックサラダの拡販を目指す。

ベビーリーフは今年から栽培拠点を増やし、パックサラダの販売地域も現状の関東、近畿の一部から徐々に拡大する予定だ。

他にも独自の栽培技術を生かした農業コンサルティングや、農業体験施設の事業化も検討しているという。

カゴメは1899年にトマトなど西洋野菜の栽培で創業、1903年にトマトソースの生産を開始。トマトを事業の核としながら野菜ジュースやスープなど、徐々に事業領域を広げてきた。はたして、100年以上もトマトを中心に据えてきたカゴメが、野菜の会社として認知される日は来るのか。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(編集者・記者、マーケティング担当)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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