来年は1ドル=110円前後になっても驚かない

FRBと日銀の「出入口戦略」が、円安を促す

来年は再びドル高、1ドル=110円前後に

このように考えると、黒田日銀の金融緩和とそれに伴う円安を米政府・財務省が黙認しているのもうなずける。今春、黒田日銀が誕生する中で、NY株が史上最高値を更新したのは、市場がFRBの出口戦略の成功を確信した瞬間だったといっても良い。

ところが、一つ誤算があった。日銀の大胆すぎる金融緩和を受け、予想以上にリスク選好が強まり、円金利が低下するどころかむしろ上昇してしまったことだ。こうなると、本邦投資家は米債市場に流出するどころか、国内に滞留してしまう。こうした中でFRBが出口戦略を強行すると、米市場金利の急上昇につながりかねず、米国、ひいては世界の金融経済を不安定化させるリスクが高まる。円金利上昇・高止まりが明確になった5月ごろから米株相場の上値が重くなり、新興国市場が混乱に陥ったのも頷ける。

とはいえ、FRBの量的緩和の時にも、米市場金利は当初上昇した後、23カ月後に低下に転じた。経験者のFRBは円金利が今後同じような経路を辿ると予期しているのかもしれない。黒田総裁も指摘する通り、資産買入れの累積効果でリスクプレミアムが縮小してくるのはこれからだろう。円金利が低下に転じ、機関投資家を中心にジャパンマネーが米国債市場に流出しやすくなるのであれば、日米両中銀の当初の狙い通りに、日銀の大胆な入口戦略がFRBのスムーズな出口戦略を可能ならしめる。

ドル円は暫くは1ドル=95100円を中心に方向感を欠こうが、来年は改めてドル高円安基調に転じるというのが、中長期的な基本シナリオになる。その際、1ドル=110円前後まで上昇しても筆者は驚かない。一方、新興国市場は、現在よりは落ち着きを取り戻すだろうが、FRBの出口戦略が続く間は、長期的な上昇トレンドに復帰するのは難しいかもしれない。

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