日本は「勉強」と「仕事」の間に差がありすぎる 即戦力を生むドイツの「職業教育」に学ぼう

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ドイツの職業教育の優れているところは、進学しない若者も、手に職をつけることができる点だ。日本は教育と就職に大きな隔たりがあり、学校では「仕事で役立つ知識」はほとんど学べない。だからこそ、ドイツのような職業教育が注目されているのだろう。

実は、日本にも「日本版デュアルシステム」なるものが存在していた。これは2004年に導入されたもので、文部科学省は「専門高校生の実践力の向上、勤労観・職業観の育成を目的として、学校での座学と企業での実習を組み合わせて行う新教育システム」と定義している。25校が企業と連携し、学校+就業の職業教育を実施した。だが、「平成16年度指定分については平成18年度に、平成17年度指定分については平成19年度に事業が終了」してしまったことから、あまり芳しい結果にはならなかったようだ。課題として、「企業によって指導体制が異なる」「専門的な知識が身に付くよう改善していくことが必要」などが挙げられている。

職業教育と職場見学は違う

職業教育は、仕事の雰囲気をつかむための職場見学でもなければ、試しに働いてみるインターンシップでもない。職種に沿った専門知識を指導員がしっかりと教え、その実践の場として、学んだことを生かしながら実務経験を積むという場だ。ただ学校と職場へ交互に行けばいい、ということではない。

ドイツの「デュアルシステム」を参考にした「日本版デュアルシステム」が、なぜ浸透しなかったのか。それは、3つの「職業教育の前提条件」をクリアできなかったからではないだろうか。前提条件とは、制度として整っていること、国と企業が支援すること、職種採用することだ。

まず、「職業教育を受けていれば即戦力になる」という社会的信頼を得るためには、整った制度が必要だ。学校教育では、どの職種でなにを学ぶべきかを、教育指導要領で明確にしなくてはいけない。そうしなければ、ただ規模を拡大したインターンシップでしかなくなってしまう。また、企業によって実習内容に大きな差があってはならない。一定の質が保証されていないと、その後の就職に有利になるとは言い切れないからだ。ただ雑用をやらせるだけ、見学させるだけでは意味がない。そのためには、専門教育ができる教員、訓練生を指導できる社員も必要となる。

さらに、国と企業の支援も必須だ。職業教育中はバイトをする時間がほとんどとれず、収入は企業からの給料のみ、という訓練生が多い。そうなると、学費はかなりの経済的負担になる。ドイツの職業学校の学費は基本的に無料で、州や公共団体が費用を負担している。日本でも高校の無償化が進んでいるが、継続的な経済支援が必要だ。加えて、実習施設や訓練生への賃金は、企業自らが負担しなくてはならないため、企業の理解も不可欠になる。タダ働きは、許されてはいけない。訓練生が職業教育に集中するためには、学費が負担にならず、生活できるだけの給与が得られる環境が必要となる。

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