キタムラが「大量閉店」を決めた本当の理由 総務省のスマホ販売規制と報じられたが・・・

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ただし、ハード部門は規模こそ大きいものの、利益率は高くはない。むしろ利益面で影響を与えるのが、デジカメプリントや証明写真、七五三撮影、年賀状などのプリントで構成される「イメージング部門」だ。キタムラは現在、デジカメ・スマホからの写真プリントや、スタジオマリオでの七五三撮影など、プリント枚数の底上げを目標に据えている。

2015年度には約32億円を投じて827店でフォトブックなど写真作りができる「photo+(フォトプラス)コーナー」を新設。店頭やネットで注文し、プリント写真やアルバムを楽しむ流れを作る取り組みだった。こうした改革によって、今上期のフォトブックや証明写真の売上高は前年同期を上回ったが、デジカメやフィルムのプリントは前年割れとなり、イメージング部門全体も前年同期比2.5%減の166億円となった。店舗改革の成果が十分に発揮されているとは言い難い。

こうして見ていくと、今回の大量閉店の背景には、スマホ販売の不振という要素はあるものの、従来から進めてきたスクラップ&ビルドの戦略、デジカメの低調、さらには店頭やネット経由でのプリント販売枚数の減少など、複合的な要素がからんでいるといえそうだ。

年賀状商戦の結果はどうか?

今後の最大のポイントは、2月に発表される第3四半期決算で明らかになる収益柱「年賀状商戦」の結果だ。キタムラは、スマホやタブレット経由で年賀状の注文をしやすくするために複数のアプリを開発したり、上質感を意識したデザインの「キタムラオリジナルプレミアム年賀状」を販売したり、あの手この手で年賀状印刷の魅力を高め、6800万枚(前年比1.3%増)の獲得を目指していた。

前述の菅原氏は「年賀状はそれほど心配していない」と話すにとどめるが、年賀状商戦の結果次第では、さらに店舗の統廃合を加速させる要素が出てくるかもしれない。なにしろ、日本郵便の発表では、年賀状の発行枚数は2008年から8年連続で減少し、受注枚数増を続けるのは至難の業だ。同社としても年賀状頼みのビジネスモデルから早期に脱却する必要が出てくるだろう。

東洋経済「会社四季報」の業績予想では、2017年3月期の売上高は1600億円(会社予想1668億円)、営業利益が10億円(会社予想14億円)といずれも、会社予想よりも減額している。デジカメやスマホ販売の台数減の影響が大きく、スタジオマリオの改修費も見込んでいるからだ。さらに、例年よりも店舗撤退が多くなれば、売上高の減少は必至。通期の決算はさらに厳しいものとなる可能性はある。

スマホ、デジカメ、年賀状…。主力商材を巡る環境が厳しくなる中、どう改革を進めるのか。キタムラはまさに今、正念場を迎えている。

高見 和也 東洋経済 記者

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たかみ かずや / Kazuya Takami

大阪府出身。週刊東洋経済編集部を経て現職。2019~20年「週刊東洋経済別冊 生保・損保特集号」編集長。

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