40周年「ガラスの仮面」の知られざる裏側 作者・美内すずえさんが語る
もうひとつ驚くのが、マンガ誌の連載と単行本では大筋の流れは同じでも、内容が違うこと。
「連載は1話ずつ起承転結があって、最後は“絶対に続きを読みたい”と思ってもらえる、引きの強い内容で終わらせています。単行本になるとこのアップダウンが多すぎて、続けて何冊も読むと疲れてしまう(笑)。25巻でそこに手を入れ始めたら、不満の残るシーンも描き直すようになって、いつの間にか1冊描き下ろすようになりました。でも、約200ページを没頭して描くのが楽しいんです。身体はボロボロですし、編集者はハラハラしていますけどね」
速水真澄の熱狂的ファンから届くファンレター
40年の間に何度か舞台化され、テレビアニメやドラマになったうえに、パロディーまで作られ、『ガラスの仮面』の世界はマンガの枠を超えて大きく広がってきた。
「坂東玉三郎さんや蜷川幸雄さんが舞台を演出してくださったり、劇中劇の『紅天女』を人間国宝になられた梅若玄祥さんがお能として演じてくれたり、本当に幸せな作品。私には読者がイメージと違うと感じないことが大事なので、キャスティングと台本までチェックさせてもらいますが、その先はただ見て楽しんでいます。
ここまで続けてこられたのは、読者が年代を超えて作品を愛してくださるからこそ。サイン会を開くと親子連れも多くて、そのうちに孫までの3代となる時期も遠くないかもしれません(笑)」
読者の思い入れも深く、特にマヤが恋する芸能事務所の若社長・速水真澄の熱狂的ファンが多いため、連載で真澄がマヤに冷たくするシーンがあると、非難ごうごうの手紙が届くそう。