規模を拡大しなければブランドは高まらない−−荻田敏宏 ホテルオークラ社長

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データ活用はオークラのDNA

--日系ホテルは外資系に比べ、経営知識や方法論で遅れている面がありますか?

確かに教育面で若干遅れているかもしれません。ただ実は、日本のホテルは経営に関するデータを、外資以上に持っているんです。

たとえば日系ホテルは坪当たりの生産性を重視します。不動産を所有するところが多いから、不動産価値に見合った収益構造をどう構築するかという視点を持っている。この指標は、外資ではあまり聞きません。

データ活用はオークラの伝統でもあるんです。外資系投資銀行がホテル投資をする際に、うちがコンサルタントを引き受けることがあるぐらいですから。

問題なのはそういったデータの使い方です。どうしても過去の成功体験にとらわれてしまう。でも、今後経営手法や方法論を教育することで、変えていけると思いますよ。

--東京では外資の参入が相次ぎました。オークラとしてはどのような戦略をとっていきますか?

東京の高級ホテルの客室数は、ここ数年で3倍になった。今後は稼働率維持のために、単価を下げざるをえないかもしれません。

うちとしてはまず様子をうかがいたいところです。市場動向を見極めてからでも遅くないでしょう。

--系列ホテルを国内外で50へ倍増させる計画を打ち出しています。海外進出にリスクはありませんか?

海外については、リース方式はとらず管理運営受託を採用します。開発ノウハウを提供し、資金は現地の企業が調達するか、投資家を募る計画です。当社のリスクは高くありません。アジアについては10~15%の投資利回りは固い。地元オーナーや投資家にも魅力的なはずです。

--やはりホテルは規模がないとメリットが出ないのでしょうか?

ブランド力を高めるため、また顧客の囲い込みのために、海外を含めた規模拡大は必然です。ロンドン、ニューヨーク、パリは参入が難しいがぜひ開業したい。アジアは人口が多く、旅行者も増え、将来の顧客を囲い込むうえで必要な市場です。09年にマカオ、09~10年には台湾に二つホテルを開業します。北京、香港などの主要都市に加え、シンガポール、バンコクなどにも進出したい。

ただ、メガチェーンを目指すわけではありません。中規模できめ細かいサービスができるホテル。それで十分戦っていけます。

おぎた・としひろ
1964年生まれ。87年ホテルオークラ入社。93年コーネル大学ホテル経営学部修士課程修了。事業部で新規事業と子会社管理、財務・経理を担当。2004年から執行役員。フロンティアホテルつくばの専務・総支配人を経て08年5月から現職。

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