【産業天気図・自動車】円高、原料高、米国失速で三すくみ。当面は「雨」模様
08年4~9月 | 08年10月~09年3月 |
自動車業界に降る雨足が強くなっている。大手完成車メーカーの2008年3月期決算は8社のうち7社が増益だったのが一転、今09年3月期業績予想は全社ずらりと大幅減益計画が並んだ。特に、トヨタ自動車<7203>を筆頭に、ホンダ<7267>、日産自動車<7201>の3強は仲良く3割減益を予想してきた。
上げ潮だった自動車業界を覆う厚い雲は3つある。ドル安、原材料高、そして北米景気の減速だ。1ドル100円、1ユーロ155円を想定するトヨタは、円高で6900億円の営業利益を失う。このほかホンダは1ドル円高で200億円、日産は145億円をそれぞれ喪失する計算だ。鋼材をはじめたとした原料高も大きな負担だ。原料高の影響はトヨタが3000数弱億円、ホンダが740億~750億円程度などとはじく。
もっとも頭が痛いのはサブプライム(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)を引き金に浮上した米国景気の失速だ。例えば、北米で稼ぐ利益が全体の3分の2を占めるなどまさに「ドル箱」である日産は「米国の自動車全体需要は2008年は1520万台を予測している。1月時点は1550万台と思っていたが・・・」(カルロス・ゴーン日産社長)と失速の懸念を隠さない。
一方、下位メーカーを見ると、スズキ<7269>はもともと米国比率が低いうえ、彼らの“ドル箱”であるインドではシェア5割を満喫している。海外比率が3割と低いダイハツ工業<7262>と並び、大手に比べて予想減益幅は小さい。一方、国内のフルモデルチェンジがない三菱自動車<7211>については、原料高の影響がマイナス100億円響くこともあり、営業減益幅は44.7%と突出している。
ただ注目すべきは、足下の為替相場は各社想定の100円より円安で推移しており、期初予想は「ワーストシナリオ」とも見受けられる。日本車メーカーの基礎収益力自体が弱まったわけではなく、外部環境の好転があれば、ふたたび収益回復は始まろう。
【高橋 由里記者】
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