「部下が働かない」と嘆く上司の残念な考え方 自分で答えを出させないと仕事は覚えない
記憶というのは、気まぐれなものだ。確実に覚えようとすればするほど、忘れやすくなる。どうも記憶というのはプレッシャーに弱いらしい。プレッシャーをかければかけるほど、覚えたはずのことが思い出せなくなる。
楽しく、興味が湧くように仕向ける
記憶力は自分のものだと勘違いしやすいが、記憶力ほど自分の思いどおりにならないものもない。思い出したいときにちっとも思い出せない、という経験は誰にでもあるだろう。記憶力は「他人」だと思ったほうがよい。そっぽを向いて機嫌を損ねたらちっとも覚えてくれないが、調子が出るとどんどん覚えてくれる。自分自身の記憶であっても自分の思いどおりになるとは考えず、「記憶力さん」と他人扱いしたほうがよいらしい。
部下の記憶力も、そういうものだとみなしたほうがよい。「これは確実に覚えろよ」と言ったって、本人にもどうしようもない部分がある。楽しく、興味の湧くことは、たとえば大好きなマンガのワンシーンのように、映像がありありと浮かんでくるほどしっかり記憶が刻まれるが、興味のないことはちっとも覚えられないのは、みなさん覚えがあるだろう。
だから部下に仕事を覚えてもらおうと思うなら、楽しく、興味が湧くように仕向けるのがいちばんだ。そうすると仕事の覚えは早くなる。早くはなるが、確実に1個1個覚えていくというものではない。「前に教えただろう?」と言ったって、忘れてしまうのはどうしようもない。ある程度の忘却は織り込んで仕事を組み立てる必要がある。
私に学習計画を語ってくれた友人は、自分が単語を忘れてしまうことに気がついてショックを受け、以後の学習が嫌になってしまったらしい。こうなると、学習に対する姿勢が「仕方なし」、つまり受動的になってしまう。こうなると「記憶力さん」はなかなか頑張ってくれない。自分自身の記憶力さえ、まるで他人であるかのように「気持ちよく働ける」環境を整えないとうまく機能しない。ましてや、他人に仕事を覚えてもらおうとすれば、余計に「気持ちよく働ける」ことが大切になる。だから、部下に仕事を覚えてもらうためにも、部下の意欲を削ぐことになりかねない「答えを教える教え方」には要注意だ。
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