ローソンが今さらながら銀行に参入するワケ 圧倒的に強いセブン銀行を追撃できる?
舵を切ったローソンは、セブン追撃に向けて着々と準備している。
準備会社には、三菱東京UFJ銀行が5%出資。さらに金融庁との今後のやり取りを見据え、財務省出身の岩下正氏を会長に、社長には新生銀行出身の山下雅史氏を据えた。この人事について、競合幹部は「新生銀行から社長を迎えて、三菱色を薄めた。ほかのメガバンクに配慮したのでは」と指摘する。
9月には筆頭株主である三菱商事がローソンを子会社化すると発表した。17年初めにもTOB(株式公開買い付け)を実施する予定だが、金融業の免許取得に向けても、親会社が三菱商事という信用力は大きなメリットとなる。
セブンが意識しているのはむしろファミマ?
だが、ローソンの銀行業参入には、いくつか課題もある。
一つは地方銀行の説得だ。関東地区のある大手地銀幹部は「ローソン銀行の設立は大きな問題だ」と語る。懸念を抱く理由はこうだ。
ローソンは現在、銀行免許を持っていないため、LANsの運営に当たって多くの地銀に協力を仰いでいる。
地銀はATMの現金が足りなくなったら補給するなどの管理業務を請け負い、収入を得る。このほか、LANsと提携していない金融機関の利用者がATMを利用したときには、1回当たり数十円の手数料収入を得ている。
ローソン銀行が設立されると、いずれこうした協力関係は解消されると予想される。そうなると、地銀はセブン銀行に対するのと同様に、ローソンに一方的に手数料を支払うことになる。玉塚会長は「(地銀の)抵抗があるということは全然ない」というが、今後の交渉材料になってくるだろう。
もう一つのハードルが、ローソン銀行として魅力のある独自サービスを展開できるかという点だ。
現在、日販(1日当たり1店売上高)はセブンの約67万円に対し、ローソンは約55万円。一方、ATMの1日当たりの入出金回数はセブン銀行約100回に対し、LANsは約50回と日販以上に差が開く。
セブン銀行は設立から15年という年月をかけ、利用者との信頼を構築してきた。ローソンが対抗するには、コンビニの商品力向上で入店客数を増やすことはもちろん、ローソンにしかない金融サービスを打ち出すことが不可欠だ。
あるセブン&アイ幹部は「ローソン銀行は脅威に感じない。むしろファミマの動向が気になる」と言う。ファミマに設置されたATMでは、18年1月からゆうちょ銀行の顧客の利用料が原則無料化される予定。ゆうちょ銀行は地方を中心に顧客数が多いだけに、その動向を警戒する。
魅力あるサービスをローソンが打ち出せなければ、セブンとの距離は縮まらない。
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