東急がシェアオフィス事業に乗り出したワケ もう一つの「満員電車ゼロ」に向けた取り組み
ある平日の朝10時。東急田園都市線・二子玉川駅近くにあるオフィスビルの一室を訪ねてみると、パーティションで仕切られた机や大きな作業机がズラリと並んでいた。適度な間隔を置いて数人の男女がノートパソコンで仕事をしている。静寂の中で聞こえるのはキーボードを叩く音だけだ。
このオフィスは東急が5月から始めた会員制のサテライトシェアオフィス事業「New Work(ニューワーク)」である。会員企業の従業員には専用のICカードが配布され、入退室時にICかざすことで利用が可能となる。デスク席はフリースタイルで、好きな場所にパソコンを設置して仕事をすることができる。もちろんWi-Fi完備。ファックス・コピーができる複合機も備え付けられている。静かな環境を確保するため、電話は専用のテレフォンブースで行なうほか、グループで秘匿性の高い仕事をするための会議室もある。
これらのサービスは利用時間に応じて利用企業に代金が請求される。従量制プランの場合、基本料金月額5000円に加え、1時間500円の料金がかかる。オフィスは二子玉川のほか、自由が丘、横浜、吉祥寺、たまプラーザにもある。いずれも駅至近の場所にある。
シェアオフィスで簡単な仕事をしてから出社
では実際の利用状況はどうなのか。時間帯別に見ると昼間が最も多い。外回りなどの訪問前後に利用している人が多いようだ。次いで多いのが、朝の時間帯と帰宅前の時間帯。「通勤ラッシュを避けてここで簡単な仕事を済ませてから出社する人、そして早めに会社を出てここで仕事をしてからやはりラッシュを避けて帰宅する人がいらっしゃるようです」と、東急でこの事業のプロジェクトリーダーを務める永塚慎一さんは言う。New Workでの作業時間は企業に送付されるので、勤務時間としてカウントすることは容易だ。
会社に行かないとできない仕事はあるだろうが、メールのチェックなど会社にいなくてもできる仕事もある。こうした仕事を自宅近くのNew Workのオフィスで済ませることができれば通勤は楽になる。東急の直営によるオフィスは現在前述の5カ所だが、他のシェアオフィス業者やホテル、そしてカラオケ店とも提携している。カラオケ店の個室は、仕事をするには意外に便利かもしれない。
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