風俗に売られた「3児の母」の壮絶すぎる半生 1000万円の連帯保証が転落の始まりだった

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目の前にいる彼女は、まさにボロボロといった状態だ。私は絶句し、同席する女性編集者は口元を押さえて涙を浮かべる。いったい、どうして現在に至ってしまったのか。

東北出身、地元の専門学校を卒業して就職で上京。20歳から普通にOLをしながら都会で平穏に暮らした。22歳で社内結婚して、24歳で出産のために退職。長女を出産。27歳のときに長男が生まれる。長女3歳、長男1歳のときに離婚、子どもを2人抱えてシングルマザーになった。離婚の理由は「触れないでほしい」という。

「突然、シングルマザーになってしまって、慰謝料も養育費ももらえない。選択肢は夜の仕事しかありませんでした。キャバクラです。池袋、上野、六本木といろいろなところで働いて、当時はそれなりに稼げました。子どもは夜間保育園です。私なりに必死で生きて、決してネグレクトではなかったですが、今思えば、子どもには申し訳ないことをした。寂しい思いをさせてしまいました」

キャバクラは20時~1時まで、週4~5日は出勤した。売り上げは多く、店のナンバーワンに入ることもたびたびだった。お客さんとの会話はすべて記憶して、相手が求めるように振る舞うと面白いように指名が取れた。毎月10万円以上の保育料はかかったが、2年間で貯金は1000万円を超えた。

「子ども2人抱えての東京暮らしは厳しいと、実家に帰ろうと思っていたとき、ある男性と知り合いました。キャバクラのお客です。意気投合して同棲して、子どもも懐いた。結婚しようって約束もしました。一緒に住んですぐに次女を妊娠した。でも、出産してすぐその男性はおカネを全部持って行方不明になりました。自動車販売店を経営しているってことも、結婚しようって言葉も全部ウソだったのです」

「借金1000万円」の連帯保証人に

次女の父親である男が消えてから1カ月後、ヤミ金から返済を迫る連絡があった。男は山内さんを勝手に連帯保証人にして1000万円弱を借金、すぐに返せとのことだった。貯金はすべて奪われて、さらに身に覚えのない1000万円弱の返済を迫られた。金融業者に事情を話すと「1年後から風俗で働け、それで返せ」と提案された。山内さんはうなずき、次女が1歳になったとき金融業者に紹介されたファッションヘルスで働くことになった。

「週6日、朝9時から18時までずっとお客をとりました。それなりに稼げる店だったので、1年間で1000万円は返しました。女の子からのイジメもすごかったし、ツラかった。やっぱり気持ちが張りつめていて、全額返済したとき、糸がプッツンと切れた。最後の日、お恥ずかしい話だけど、更衣室で4時間ずっと泣いて、仕事ができない状態に。それで辞めさせてもらいました。好きでもない人に性的な行為をするのは、私はすごくツラかった」

1990年代後半は消費者金融を筆頭に、ヤミ金融や性風俗は活況だった。ヤミ金融が債務者女性を性風俗に売り、肉体で返済させるのは日常茶飯事で、私も何十人とそういう境遇に陥る女性に会っている。最近は女性をアダルトビデオに無理やり出演させるAV強要問題が話題となったが、ターゲットとなるのはいつの時代も換金しやすい美人女性だ。市場原理が働く。美人で責任感の強い女性は、悪徳な人物が近づいてきてワナにはまりやすい。

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中村 淳彦 ノンフィクションライター

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なかむら あつひこ / Atsuhiko Nakamura

貧困や介護、AV女優や風俗など、社会問題をフィールドワークに取材・執筆を続けるノンフィクションライター。現実を可視化するために、貧困、虐待、精神疾患、借金、自傷、人身売買など、さまざまな過酷な話に、ひたすら耳を傾け続けている。著書に『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)、『私、毒親に育てられました』(宝島社)、『同人AV女優』(祥伝社)、『パパ活女子』(幻冬舎)など多数。Xアカウント「@atu_nakamura」

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