「貧困と無縁」な母子家庭ゆえの苦悩もある 「キャリア系シングル母」3人の壮絶なる闘い

✎ 1〜 ✎ 83 ✎ 84 ✎ 85 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「そんなに子どもを預けっぱなしで大丈夫?」
「そこまでして働いて、何のために生んだの?」

もちろん、愛子さんとて望んで子どもを長時間預けているわけではありません。その時々に直面した問題を解決するために、必死で頑張ってきたのです。そこで、ある結論にたどり着きました。

「さも『心配顔』で何かをいってくる人たちは、本当に私が困っているときには助けてくれない人たちだ。一方で、子どもたちには、私しか責任を持てない。子どもが幸せか、不幸かは、周りの人が判断するものではない。子どもが大きくなったとき、自分で判断すればいいこと」(同)

子ども優先で欠勤したら、職場で反乱!?

一方、職場では、子どもの体調不良などで急に会社を休んだり、早退することを責められ、反乱に遭ったこともありました。けれども、愛子さんはここでもひるみませんでした。「どんなに責められても、私は子どもを育てるためにこの会社に入ったんです。子どもには私しかいないんです」――そう訴えたところ、衝突していたメンバーの1人が、何と子どもを預かってくれるようになったのです。

現在は、転勤先の沖縄に住む愛子さん。周囲に頼れる親類はいませんが、この土地ならではの「助け合う心」に支えられているといいます。周りにお願いする力もついてきました。どん底から這い上がり、管理職に就いて今年で7年目。「最近では、ようやく過去の苦労も笑って話せるようになりました」(同)。

「ゼロからの出発」で、キャリアを積み上げたのが愛子さん。一方、手に職があることが、いざというときにいかに強みになるかを教えてくれたのが、次の香奈さんの例です。

■香奈さん(仮名・46歳)の場合 
・子ども:9歳の娘 
・最終学歴:専門学校卒
・職業:美容師 
・年収:300万円台

 

香奈さんの職業は、美容師。結婚時は、ホテル内の美容室に勤務していました。週末は結婚式の仕事が入ることが多く、子育てはつい、同居の姑に頼りがちに。そんな香奈さんに、夫は「世間の働くお母さんは、もっと家のこともやっているよ」と言い放ちました。

それがすれ違いの発端となり、離婚。ただ、香奈さんが離婚に踏み切れたのは、仕事があったから。「娘を1人でも育てていけるという自信があった」(香奈さん)といいます。

次ページ「手に職」をつける大切さ
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事