VW「パサート」に移植されたゴルフGTIのDNA 新たに加わった2Lモデルの実力を試す

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パサートTSIは実際に意外なほどよく走るクルマだった。とりわけ高速道路での速度の伸びは気持ちよい。効率のよいターボチャージャーと燃料制御技術を組み合わせると、いまでは1.4リッターエンジンでもここまで出来るのかと感心させられる内容なのだ。

そこにもってきて追加導入されたのがパサート2.0 TSI R-Lineだ。最大の特徴はさきにも触れたとおり2リッターエンジンの搭載。ツインクラッチタイプの6段DSG変速機を組み合わせた前輪駆動である。このエンジンがとりわけ注目で、スポーティなゴルフGTIから移植されたものなのだ。

ダウンサイジング化を勧めてきたVWだが、同ブランドの乗用車を未体験のゲストはエンジン排気量が少ないと聞いただけで“走らないだろう”と試乗すらしないケースがあると言う。「その対策で導入しました」と現地法人のフォルクスワーゲングループジャパンの広報担当者は語る。

はたして乗らず嫌いはもったいない。そんな出来なのだ。

気持ちがいいと感じる大きな理由

パサート2.0 TSI R-Lineのよさは、とにかくスムーズなこと。別な言葉にすると、気持ちいいという表現がしっくりくる。大きな理由はエンジンだ。スポーティさで定評のあるゴルフGTIと共用だけあって力がたっぷりある。350Nmもの最大トルクが1500rpmから発生。つまりアクセルペダルを軽く踏み込めばぐいぐいと加速するのだ。1.4リッター版の最大トルクは250Nmだったので数値からも違うが、体感による差も大きい。

エンジンは回転が上がっていくとイイ音になる。「クオーンッ」という高い音が聞こえてきてそれで気分が盛り上がる。パサートでこれ?という意外な嬉しい驚きだ。中間加速といって高速の追い越しなどで重要な加速性も十分。これだけでもまったく違うパサートの登場だと知れるのだ。

もうひとつパサート2.0 TSI R-Lineのいい点はステアリングだ。しっとりとして感触のいい革巻きステアリングホイールじたい高級感があるうえに、それを切ったときの反応がはやい。少し切れば瞬時にクルマは応答してドライバーの意志に忠実に動く。大きく切ればややロールしながら鋭いターンを見せる。DCCとVWではよぶアダプティブシャシーコントロールも備わり「コンフォート」や「スポーツ」などモードによってダンパーの硬さを自動で調節できるので、快適かスポーティか、走りを切り替えることも可能だ。

パサート2.0 TSI R-Lineは日常的に使ってきっと飽きないだろう。燃費もJC08モードでセダンでリッター15.6km、バリアントで15kmと良好だ。しかも先進的安全装備として、レーンキープアシストやレーンチェンジ時に死角にクルマがいるときにクルマがステアリングホイール操作を支援するレーンチェンジアシストシステムも備わる。さらにアダプティブクルーズコントロールや渋滞時に自動で加減速およびステアリング操作を行う渋滞時追従支援システムまで搭載されている。

インフォテイメントシステムではスマートフォンと接続することでグーグルストリートビューも使えるため目的地周辺の情報検索が出来る。さらにアップルカープレイやアンドロイドオートに対応しているので音楽再生はもとより、ハンズフリーフォン機能やeメール読み上げなども出来る。新しい時代のメディアにも対応しているのも使い勝手がよい。

(文・小川フミオ)

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