テクモの「NINJA GAIDEN」プロデューサーが成功報酬・慰謝料の支払い求め提訴
ゲームソフト開発会社のテクモの幹部社員の1人が、会社に対する未払いの成功報酬の支払い、および安田善巳社長に対する慰謝料の支払いを求める訴訟(合計1億4800万円)を提起し、その事実を6月3日付けで「声明文」として報道機関に公表した。
提訴したのは、テクモのクリエイティブオフィサー Team NINJA部長の板垣伴信氏。板垣氏は、主力タイトルの1つである「デッド・オア・アライブ(DOA)」シリーズのプロデューサーとしてゲームファンの間では知られている。また北米で6月3日、日本5日、欧州で6日と日米欧ほぼ同時に発売されるXbox360向け新作「NINJA GAIDEN2」にも開発責任者として携わった人物。声明文では、7月1日付けで退社の意向も明らかにしている。新作の発売日を狙ったようなタイミングで明らかになった社員プロデューサーとの係争やその離反の影響などを嫌気して、テクモの株価は4日終値は前日比112円安の990円と大幅な下落を見せている。
声明文によれば、板垣氏は「開発を監督したXbox360用ゲームソフト『DOA4』の成功報酬を支払う旨を私との間で合意しておきながら、いざ報酬の支払い時期がくると、合意に反して(会社側は)支払いを拒絶」したと主張。また、安田社長については、「私の部下や同僚に対し、私の評価を貶める発言を行い、私に重大な精神的苦痛を与え、私の人間関係、職場環境を悪化させた」などの「理不尽・不誠実な発言」を行ったとしている。
会社側は4日付けでコメントを出し、「定例賞与とは別に所定の法定手続きに則った成功報酬制度があり、DOA4プロジェクトも含めたその成功報酬の支払いを毎年行ってきた。同社員(板垣氏)が主張する成功報酬は前述とは別のもので、このような内容を認める決議決定がない」ことや、「そもそもこれ(板垣氏の求める成功報酬)は、前経営者時代の話であり、一方的な言い分」などと反論している。
大ヒットの期待が高い「NINJA GAIDEN2」は販売元がマイクロソフトで、基本的に欧米が主市場と見られているため、今回の「事件」の影響は限定的だろう。ただ、この係争がどのような形で決着するかは別として、今後の開発体制への影響は気になるところ。「ゲームソフトの開発スタイルも、かつてのように個人の力量に依存する形から、組織の力でつくる方向に変わってきている。現在、当社では20名程度のプロデューサーが互いにいい意味で競争し、そのなかから新しいヒット作なども生まれてきている。これからの実績で示していくしかない」(向井規浩・経営管理部長)と会社側は説明している。
【勝木 奈美子記者】
(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら