世界の富豪たちは今、何に悩んでいるのか

顧客条件は最低1億円!プライベートバンク社長に聞く

日本と中国では「富の歴史」が違う

――日本がほかのアジア諸国と比べ、富への考え方が違うとは知りませんでした。

日本がほかのアジア諸国より「富の歴史」が長いからだろう。中国もあと150年すれば、日本と同様に富を守ることに集中するようになるだろう。まだ富始めたばかりだから、守ることまで考えが至っていない。

これからは、アジア全体が富をもっと獲得していくだろう。だが、ただ富を増大させればよいというわけではない。今、1代目の創業者の場合は、自分のおカネが子ども2~3人いれば、それぞれに分配されていく。2代目、3代目となるにつれ、どんどん家族の規模は複雑化している。これからは「富のマネジメント」ということを考えなくてはならない。

――日本とスイスの富裕層の富への価値観が似ているのであれば、プライベートバンクのビジネスは日本ではやりやすいですか。

確かに、いろいろな価値観が似ている部分ではやりやすい。一方で日本の富裕層の多くはプライベートバンクへの知識がほぼ皆無なので、普及させていくのは難しいと感じている。

――今、顧客はどのぐらいいますか。

具体的には言いにくいが、数十人程度だ。だが、9割以上の方は一度こちらに来ると、顧客になっている。その中の多くは、すでにほかの銀行でサービスを受けているが、既存の日本の金融サービスとは違うサービスを求めてやって来る。

彼らはいくつかほかのバンクもみて、日本の市場でわれわれが「ほかとは異なる」と感じたとよく口にする。おそらく、日系のプライベートバンクは大衆向けのサービスとの差別化ができていない印象を受ける。

われわれは、富裕層のみに特化するサービスをしているので、どのように資産を守り、家族の将来がどうなるのか、会社をどう発展させるのか、富裕層が抱える問題にフォーカスできる。

メガバンクのプライベートバンクサービスに行くと、投資と金融商品の話ばかりを聞かされる。だが、富裕層のニーズはそこではない。自分の財のマネジメントだけではなく、生活面に至るまで、すべてを相談し、託したいというのが本心なのだ。その点を知っていたので日本に進出した頃から、伝統的なスイスのプライベートバンクを日本の顧客にもまったく同じように提供しようと考えていた。

――日本代表として駐在4年目ですが、日本でのビジネスについてどう感じていますか。

プライベートバンクに限らず、すべての個別商品や金融サービスが大衆向けに存在するように感じる。大変だと感じたのは、われわれが重視している個別対応のサービスを提供する感覚が、日本市場は欠如していること。

富裕層になればなるほど、その家族の規模が大きくなればなるほど、求めているのは個別対応なのだ。日本には存在していなかったが、今はネットで検索できる時代なので、自ら検索をかけて、ロンバー・オディエだったら家族の問題も対応してくれるのでは、と期待して門をたたく富裕層が増えている。4年間個別の問題を多く解決し、自分たちの強みを日本でどう生かすか学び続けている。

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