中国勢も驚く「中欧鉄道メーカー」の存在感 シュコダ・ペサが低価格を武器に西欧へ進出
もう一つの注目メーカーが、ポーランドのペサ(PESA)だ。ポーランドの中央より少し北に位置するブィドゴシュチュに鉄道が開通した1851年、その鉄道に接続する形で1ヘクタールの工場を建設。20人ほどの従業員で創業したのが、ペサの前身となる「Warsztaty Naprawcze Wschodniej Kolei」であった。
工場はすぐに規模を拡大し、管理棟や機関車修理工場などが次々と建設され、それに比例して事業も拡大していく。しかしシュコダと同様、ペサもまた、社会主義国家という枠組みの中で国営企業となった。1991年のソ連解体により、独立した企業ZNTKとして再出発。2001年には完全に民間主体となり、現在のPESAへと社名変更した。
同社がイノトランスに出展したのは、地元ポーランド鉄道向けの長距離用電車ED161型で、同社の商品名では「Dart」という名前だ。ポーランド国内では、インターシティなどの優等列車に使用される予定で、最高時速は160キロ、1等車・2等車の他に食堂車も連結される。
車内はWi-Fiが完備され、各座席にコンセントが設置されるなど、ビジネス客の利用も想定されている。また車内照明はすべてLEDとなるなど、環境へも配慮されている。同社は他に、貨物用電気機関車や低床式路面電車なども出展し、いずれも注目を集めていた。
「安くて安心、必要十分」が売り
以上、注目を集める中欧系メーカー2社をご紹介した。イノトランスには、この2社以外にも多くの中欧系メーカーが出展しており、いずれもブースには多くの来場者が訪れていた。
中欧系メーカーの特徴を簡潔に記すと、西欧系メーカーの車両と比較して、低廉な価格ながら、必要十分な設備を備え、性能や信頼性、品質も大差はないということだ。この辺りは中国製と似たところがあるが、信頼性やアフターサービスなどの面で、若干不安がある中国製と比較すると安心感がある。
欧州では現在も中国製品への信頼感が他国のものと比べ、若干低いのは否めない。鉄道のみならず、これまで発生した数々の細かいトラブル――それは事故であったり、契約上の問題であったり、私たちがこれまで報道で目にしてきたような、大なり小なりの事象ではあるが――の積み重ねによる影響だ。
しかし、中欧系メーカーにも課題はある。デザインは、まだまだ発展途上の部分が見受けられる。
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