「クリントン大勝」で米政府は大きく変わる! 上院で過半数を支配する意義は大きい

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今回、クリントンが圧倒的な優位となっているのは明らかだが、不確定要素は依然として残っている。

1つ目は、今後3週間のうちに、米国へのテロが起こる可能性や、クリントンや同氏の上級スタッフによって送受信されたEメールが新たにウィキリークスから流出する可能性がないとは言えないことだ。

2つ目は、クリントンの勝利が確定的になったと考えた多くのクリントン支持者が、自らの投票は必要ないと考え、選挙に行かない可能性があることだ。

3つ目は、今回の大統領選の世論調査は予測がしばしば外れていることだ。これは、まだ誰に投票するか決めかねていたり、双方に対して不満を抱えたりしている有権者(すなわちクリントンにもトランプにも満足していない有権者)が相当数いるからだ。さらに、過去の大統領選で投票した経験があまりない米国人の支持をトランプがどれだけ得られるのかを判断するのは容易ではない。

4つ目には、米国の大統領選では必ずしも一般投票で得票数が多かった候補者が勝利する制度ではないことがある。米国では一般投票の結果に応じて、各州に割り当てられた選挙人を総取りする方式になっており、当選するには選挙人538人の過半である270人を獲得しなければならない。

投票結果はいつごろわかるのか

たとえば1992年の選挙の場合、一般得票数はビル・クリントンが43%、ジョージ・W・ブッシュが37%、ロス・ペローが19%だったが、獲得した選挙人で見るとクリントンが370人と圧倒的で、ブッシュは168人、ペローは0人だった。また、2000年の大統領選では、アル・ゴアが一般得票数の48.4%を獲得した一方、ブッシュは(ゴアより54万3895票少なく)47.9%だったが、獲得した選挙人はブッシュのほうが多く、選挙に勝利した。それは、フロリダ州で開票結果について連邦最高裁がブッシュに有利な判決を出したため、選挙人の総取り制度によってフロリダ州の選挙人全員がブッシュ支持と算定されたからだ。結果、ブッシュの選挙人数は271票と、ゴアの266票を上回った。

このときの選挙では、11月7日の選挙以降もめたために、連邦最高裁は1カ月以上経った12月12日に、ブッシュが大統領選に勝利したという判決を下すこととなった。もっとも、多くの選挙専門家たちは今回の選挙に関しては、それより明確な結果がかなり早い段階で出ると見ている。そうなれば勝者は、(米国時間)11月8日の投票日夜までには、明らかになるだろう。

グレン・S・フクシマ 米国先端政策研究所(CAP) 上級研究員

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Glen S. Fukushima

ワシントンD.C.のシンクタンク「米国先端政策研究所(CAP)」の上級研究員。カリフォルニア州出身で、アメリカ合衆国通商代表部で対日と対中を担当する代表補代理や在日米国商工会議所の会頭を務めた経歴を持つ。また、ハーバード大学の大学院生のときには、エドウィン・ライシャワー教授、エズラ・ヴォーゲル教授、デイヴィッド・リースマン教授の助手を務めた。

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