「ポスト石川遼」へ、シニア向け再強化 ヨネックス、契約終了でゴルフ大苦戦

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2013年3月期の決算発表会で説明するヨネックスの米山勉社長

大型契約とはもちろん、石川選手との用具・ウエア使用契約を指す。

同社が石川選手と2008年にプロ契約を結んで以来、「ゴルフ用品はもちろん、ウエアなどのアパレルや、ウォーキングシューズなどの分野でも、ヨネックスのブランド力アップに有効だった」。そう話すのは同社で国内ゴルフ営業を統括する山本美雄取締役だ。「若年層からシニア層まで、それまでなじみの薄かった層に、ヨネックスブランドを行き渡らせた」(山本取締役)という。

ヨネックスにとっては、それだけ大きかった“石川遼”効果。昨年秋以降は、石川選手との契約更新が難しいとの見通しが出てきたことから、「流通在庫を大きく増やすことだけは避けたいと考え、急ブレーキをかけた。特にゴルフウエア関係は、秋冬物で落ち、(前期末に出荷した)春夏物でも落とした」(米山社長)という。

海外メーカーとの価格競争激化もゴルフ用品を直撃

もっとも、ヨネックスのゴルフ用品事業の落ち込みは、石川遼効果がはげ落ちたためだけではない。

直近では急速に円安傾向が強まっているが、昨年終わり頃までは長らく円高基調が続いたために、国内ゴルフ用品市場でも海外メーカーの攻勢が強まり、ヨネックスをはじめとする国内メーカーは、価格競争力を弱めていた。そうした環境の中で、同社が得意とする、「性能面での特性を打ち出せなかった」(米山社長)ことが、前期の“敗因”となった。

それでは、「ポスト石川遼」において、ヨネックスはどのようにゴルフ用品市場で戦うのか。

ヨネックスは、石川選手がキャロウェイとの契約を発表した直後の1月21日、ゴルフクラブの新モデル、「i-EZONE(アイ・イーゾーン)」シリーズを2月中旬以降、順次発売することを発表した。「超・深重心のパワー・アシスト設計で飛距離7ヤードアップ」のドライバー、「カーボン複合による低重心と、広い反発エリアで飛びを徹底的に追求」するアイアンなど、「飛距離・飛び」をあらためて打ち出した新製品となっている。

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