100円稼ぐのに1224円必要な鉄道があった! 中小私鉄からケーブルカーまで営業係数比較

以上の成り立ちから第三セクター鉄道の営業係数についてのおおよその予測は付けられるであろう。良好な数値を記録しているのはP線や都市鉄道線であり、残念ながらそうでない数値を記録しているのは特定地方交通線やAB線という具合にだ。
P線のうち、ただ一つ2013年度の営業係数が100を超えている埼玉高速鉄道も減価償却費を含まない営業係数は64.1であり、キャッシュフロー上は問題ない。ちなみに、P線各社の減価償却費を含まない営業係数は北総鉄道が52.1、東京臨海高速鉄道が34.4、東葉高速鉄道が33.1、横浜高速鉄道が39.2と軒並み良好で、裏を返せば新規開業の鉄道はいかに多くの減価償却費を抱えているかがわかる。
第三セクター鉄道中、2013年度の営業係数が最も悪かったのは1224.6を記録した阿佐海岸鉄道である。同社は営業係数もさることながら、営業収支の中身も良好ではない。旅客運輸収入は774万8000円にすぎず、運輸雑収の166万2000円を加えても営業収益は941万円と1000万円にも届かない。そのいっぽうで営業費用は1億1523万7000円である。
阿佐海岸鉄道の2013年度の損益計算書を見ると、経常損失は7922万9000円ではあるものの、8500万円の特別利益の存在によって559万1000円の当期利益を計上した。特別利益とは徳島県や沿線自治体からの基金であり、補助金なしでは同社の経営は成り立たない。
地震で被災、南阿蘇鉄道の今後は
現在、第三セクター鉄道で注目されている鉄道といえば南阿蘇鉄道であろう。熊本地震により同鉄道の高森線は大きな被害を受け、立野―高森間17.7kmのうち、立野―中松間10.5kmはいまも不通となっている。
南阿蘇鉄道も地元も復旧を望んではいるものの、大きな障壁として立ちはだかっているのは復旧費用だ。震災直後の調査で30億円と見積もられ、今後さらに膨らむ可能性は高い。同社の営業収益は鉄道事業で9630万9000円、全体でも9718万7000円である。
東日本大震災で多くの区間が被災し、2014年4月6日に全線の復旧を果たした三陸鉄道に要した費用は108億円であったという。その三陸鉄道の鉄道事業における2008年度の営業収益は3億9024万5000円。復旧費用に対する鉄道事業における営業収益は三陸鉄道が27年8カ月分、南阿蘇鉄道は31年2カ月分となる。30年分を境とするのか、それとも三陸鉄道の前例にならって復旧工事を進めるのかは未定だ。何にせよ、決めるのは南阿蘇鉄道自身ではない。
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