TV討論で「トランプの二流ぶり」が露呈した! まるでプロレスのマイクパフォーマンス

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第二にバレたのが、トランプ氏の不誠実さ。トランプ氏はほぼすべての質問に直接答えることなく、異なる話題に切り替えるか、ヒラリー氏への反論につなげていた。連邦税を公表しないことを指摘されても、経済政策を聞かれても、ヒラリー氏のメール私用問題やメキシコ・中国の批判へと話題を転換。司会者に「質問に答えていないので再度聞くが・・・」と何度尋ねられても、的外れな回答に終始していた。

トランプ氏がほぼすべての質問から逃げているか、はなから答える気がないのは明らかだった。すべての質問への回答をメキシコと中国への怒りの転換と、ヒラリー氏への個人攻撃にすり替えようと腹を決めているかのようですらあった。そしてそれらの「不誠実な姿勢」は、痛々しいまでに画面を通して世界中にバレてしまったのであった。

そして第三にバレたのが、トランプ氏の戦略性のなさであった。一言でいうと、対象とする聴衆と提供すべきメッセージを完全に見誤っていた。

「メールの内容を公開すれば、税金を公開する」と話した時にトランプ支持派から局地的な拍手が沸き起こったが、問題は今回の聴衆はそのような人々だけでなかったということだ。

トランプ氏は首尾一貫して、全体のオーディエンスを完全に見誤っていたといえる。日頃の共和党候補を選ぶ予備選であれば、自身の支持層が喜ぶ感情的・煽情的レトリックを言い散らしていればよかったかもしれない。しかし、民主党支持層や無党派層というまったく違うオーディエンスを説得しなければならない大統領テレビ討論の場で、トランプ氏は無残なまでにこれまでどおりか、それを劣化させたようなアジテーションに終始していた。

ディベートにしてもスピーチにしても、その時々のオーディエンスが誰なのかを考え、それに刺さるポイントと話し方で芸風を変えなければ、説得できるわけがないのである。

巧みなヒラリー候補の受け答え

これに対してヒラリーの回答の見事なこと見事なこと。すべての回答が入念に準備されていた。自身が突っ込まれるであろうことに対する(たとえばメール私用問題)受け答えも完全に準備されており、極めて落ち着いて、反論することなく素直に非を認めて、逆に潔さのアピールに成功していた。メール問題に関して問われた時も、待ってましたと言わんばかりの自信たっぷりの対応である。

そして、ヒラリー候補はオーディエンスの"民意"を理解していた。「経済成長の恩恵に浴していない、消えゆく中産階級が一部の高所得者層に対して不満を持っている」ことをきちんと把握していた。

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