ベンツ「GLCクーペ」はまるでスポーツカーだ 「SUV以上に楽しい」SUVの魅力
用意されたのは3つのモデル。GLC250 4MATICクーペとGLC300 4MATICクーペは出力とトルクが違う2リッター4気筒エンジンにフルタイム4WDシステムの組み合わせ。もう1台のGLC250d 4MATICは4気筒ターボで欧州では売れ線のモデルだ。それぞれに個性があったが、いちばん好きなモデルはすぐに決まった。
メルセデス・ベンツ GLCクーペは「ミッドサイズSUV中のスポーツカー」とメーカー自身が定義している。スポーツサスペンションを備え、積極的に運転を楽しめるクルマとして開発されたのだ。実際にサスペンションの設定はやや硬め。そのぶん走りは楽しい。期待以上の出来だった。
出発地はオーストリアのグラーツ。ここからハンガリーのブダペストに向けてアウトバーンと一般道を組み合わせたルートをとった。そのあとルーマニアに向かい、トランシルバニアの山岳地帯でのワインディングロードを楽しんだあと、首都のブカレストに向かった。4泊という通常の試乗会(1泊)に較べると異例に長いコースである。一日に500キロ以上走り、所要時間は朝9時から日が沈んだあとの18時までと、たっぷりドライブを堪能できた。
なかでも印象に強く残ったのは、トランスファガラシャンというトランシルバニアの山岳路である。これでもかというぐらい屈曲路が連続する。ニコラエ・チャウシェスクの時代(1974年-89年)に開発された道なのだと僕と一緒に乗っていたブダペスト出身のジャーナリストが教えてくれた。ルーマニアについては民度がなあと、ことごとくさげすむようなことを言っていた彼が唯一「すごいね」と感心したのもこの道だった。
半径の小さなカーブを短いストレートがつないでいる。そこをGLCクーペでいくのだが、コーナーの入り口での確実なブレーキ、コーナリング中のゆるかな姿勢変化と、路面をとらえてはなさずしっかりと駆動力を路面に伝えつづけるタイヤとサスペンション、そして立ち上がりから次のコーナーの入り口までの瞬発力のよさ。さきに紹介した155kW(211ps)のGLC250 4MATICクーペでも、180kW(245ps)のGLC300 4MATICクーペでも、はたまた150kW(204ps)のGLC250d 4MATICクーペでも、どれもドライブがじつに楽しい。
なかでも1台をといわれたら、僕はGLC250 4MATICクーペを選ぶだろう。ノーズが軽いせいで気持ちよくカーブに入っていけるなど身のこなしがよく、かつ370Nmのトルクのあつかいかたも抜群だ。ひとことでいうと、軽快さでピカイチなのだ。日本で乗ったGLCでも僕は個人的にGLC250 4MATIC (628万円~)が好きだが、結論はある意味同じだったということだ。はやく日本に入ってくるといいと思う。
(文・小川フミオ)
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