インドネシア、まさかの「禁酒法」審議の衝撃

バリ島でお酒が飲めなくなる?

ジャカルタのインドネシア政策研究センターは、国内メディアによる報道を引用し、2012年以来、アルコール飲料の摂取による死亡が453件、健康被害は373件起きていると述べた。このすべてが、不法に蒸留された「オプロサン」として知られるアルコール飲料によって引き起こされた。オプロサンには、メタノールや医療用アルコール、果実からの抽出物、蚊よけ剤などの有毒物質など、さまざまなものが含まれている。

同センターのエグゼクティブ・ディレクター、ライナー・ホイファースによると、453件の死亡事例のうち83%が、アルコール飲料の販売がシャリアに基づいて禁止または規制されている自治区で起こったという。

ホイファーは、こうした規制が「公共道徳や健康を向上させることはない」と言う。「むしろ、合法的に製造され、販売されているアルコール飲料の消費が違法な製品に向かうことになり、そうなると死者や健康被害が増大する」。

連立与党は反対の姿勢

ジョコ・ウィドド大統領の連立与党は国会で過半数を占め、法律の草案作成にも重要な役割を果たすが、彼らはアルコール飲料の禁止には反対している。連立与党は、禁止ではなく規制の強化を提案してきた。たとえば、アルコール飲料を販売する店舗に免許取得を義務付ける、購入者は身分証明書のチェックを受けるなどだ。

インドネシアでは何世紀にもわたって、アルコール飲料が飲まれてきた。同国の300以上ある民族グループの一部では、文化的・宗教的な儀式において、アルコールが不可欠なものとなっている。ジャカルタの戦略国際研究センターがインドネシアの8都市で1600人を対象に行ったアンケート調査によると、回答者の大半が飲酒により健康に危険が及んでいるとは考えていなかった。

同センターの研究者、デイビッド・クリスチャンは言う。「インドネシアの一般国民は、アルコールの問題を緊急の課題とは考えていない。そう考えているのは一部の政治家だ」。

(執筆:Joe Cochrane記者、翻訳:東方雅美)

© 2016 New York Times News Service
 

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