料理を引き立てる「スゴい塩」、納得の共通点

能登半島とニューファンドランドで見た極意

新海塩産業の小屋の「よしず」の列 (小谷内祥治氏提供)

珠洲塩は、2002年に小谷内祥治氏が設立した有限会社の新海塩産業で作られている。小谷内氏は湿気の多い日本の気候で、海水から塩を取る最良で最も効率的な新手法を考案した。

同氏が建てた工場では、「よしず」を天井に近いところで棒によってつなぎ、床につくように吊るしている。22枚のよしずを使った2つの列に、海の深いところから運んできた4万リットルの海水を吹き付ける。海水がよしずを伝わって落ちるのに従って塩分が濃縮される。それを集めて再度ふきかける作業を9日間続けると、塩分は3倍から10倍まで高まる。

出来上がった珠洲塩 (小谷内祥治氏提供)

その隣の部屋には、内側にステンレス鋼を張った鉄釜が複数置かれている。その中に濃縮された海水を入れて炭火で1週間ほど炊き上げ、完璧な塩の結晶を作り出す。担当者の常俊順子さんは毎日8時間、へらを持って釜の中をかき混ぜる作業を、休まずに続けていた。

ニューファンドランドで見た製塩法

ニューファンドランド地方のフォーゴ・アイランド・インの海塩は、違う手法で作られている。チャールズ氏とその仲間は海岸の浅瀬で海水をバケツに汲んで、冬の間じゅうホテルの近くに置いておく。水はとてもきれいなので、海岸までわざわざ集めに行く必要はないのだ。

バケツの中の60リットルの海水のうち、上層部の水分は寒さで凍りつくが、底に近づくほど濃い塩水が残っている。彼らはバケツをキッチンに運び、塩水をポットで煮て5〜6リットルほどにする。さらにプラスチックの容器に張り、扇風機を使って丁寧に乾かす。結晶が取れるまでには、24時間かかる。

この製法はかなりの電力消費を要するため、冬場の製塩の規模は小さい。しかし、チャールズ氏によれば、夏場の製塩法はまったく違う。ホテルの近くの海岸にある黒い岩の上に自然に形成された、塩の結晶のシートを集めるだけで良いのだという。

チャールズ氏はこの自然製法を毎日、目の当たりにしているのだろう。彼は「そんな奇跡が起きるには、とても特別な好天が必要なのです」と書き送ってきた。

海塩は人々と自然を結びつける。だが私は、ニューファンドランドと能登ではその関係はかけ離れており、非常に異なることを目の当たりにした。

執筆: Hiroko Shimbo (Zester Daily/Reuters)

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