日経平均1万7000円以上は買い転換のサイン 9月株価の月中平均で上昇入り時期がわかる

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現在のように米国市場の良い調子が続いていれば、9月12日あたりから20日は小休止をイメージしながらも、最終週にかけては見直し買いが入るイメージです。ただ、10月いっぱいぐらいまでは、のらりくらりの相場展開が続きそうです。

さて、1万7000円まで上昇すると、何か変わるものはあるのか? 長期トレンドの転換をみる「コポック指標」という珍しい指標を使って、現状を把握したいと思います。

図表内で示した青い線は「コポック指標」です。これは、一般的に日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの平均株価の月中平均を使って、ある時点と比較した騰落率の加重平均線を示す指標です。ここでは各月の12カ月前と比較した騰落率を求め、その直近10カ月間の加重平均で描いています。10カ月間の加重とはどういうことかというと、いちばん古い10カ月前を起点に、1倍→2倍→3倍→4倍→5倍→6倍→7倍→8倍→9倍→10倍といったように、現在に近づくほど1倍ずつ比重を加算していきます。

買い転換は9月か12月か1月か

意味としては、1~10までを全部足すと「55」になります。直近3カ月分を足すと「27(=8+9+10)」となり、「55」の約半分です。つまり、直近3カ月間の騰落率に全期間の半分の比重がかかるというものです。少しややこしいのですが、実は「ダマシ」が少ない、「スグレモノ」なのです。

主には底値圏での買いのタイミングをみるもので、指標がマイナス圏にあり、上向きに転じることが買いサインの条件。今回の下落局面では、今年4月にマイナス圏に入り、足元は下落が続いています。今から12カ月前が1万9000円台であったため、何となくでも下落しているのはおわかりいただけると思います。

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それでは、どのタイミングになればマイナス圏で上向きに転じるのか? 将来の株価の推移を仮想定してみると、8月の月中平均(1万6586円)と同じく、9月以降も月中平均が1万6500円で続くと見立てると、12月に上向くことになります。月中平均が1万6000円に下落する場合は1月になる。逆に、今よりも少し水準を切り上げ、1万7000円以上に上昇すると9月に上向き、買い転換することになりそうです。

さて、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のためにハンドブック(初級編①)を作成しました。前回大好評をいただいた基礎編に続く冊子です。無料で配布しておりますので、興味のある方は、NTAAのHPからぜひお申し込みください。なお、基礎編とあわせて2冊申し込むことも可能です。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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