貧困とセックス、いずれ最底辺は銃を持つ 格差を放置すれば日本も銃社会に突入する

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中村:社会問題である介護は、とことん企業や教育機関、個人のセルフブランディングに利用されている。業界上層部は自分たちが儲かって、自分がチヤホヤされるためなら手段を選ばない。従業員を「家族」とか言って洗脳して、同じ日本人ですら使い捨てで、続々と精神疾患にさせているし。そこに外国人が来たら何をするか、簡単に想像がつくよね。ヤバイね。

鈴木:残酷です。僕は千葉の田舎に住んでいるので、近くに外国人が働いている産廃ヤードやスクラップヤードがたくさんある。彼らの話を聞くと、日本ではゴミ屋をやっていても、本国ではかなりの高等教育を受けていて、すごくハイスペック。そういう人たちを単純労働力に誘導して搾取するのは、その本国の社会資源を潰すことでもある。

中村:昔でいえば炭鉱労働者に当たるのかな。でも、炭鉱労働者は使い捨てでひどい部分はあったと思うけど、確か給料はよかったでしょう? 賃金をまともに払うつもりのない、今のブラック企業やブラック介護施設のほうがエグイ。ブラックの先端は居酒屋で、同じ労働集約型ということで、介護業界は大きな影響を受けている。居酒屋は独立をあおって、業界を挙げて「29歳定年制」を敷いているくらいだから、外国人はイキがよくて長時間労働に耐えられる20~25歳くらいを狙っていると思うよ。

鈴木:単純に「昔はよかった」ではないんです。炭鉱労働にしても、港湾労働にしても、人を集めておカネを稼がせられる状況ができると、その人たちにおカネを使わせる産業が周りを囲い込んだ。過剰に消費させて、後に何も残らないというのを自己責任的に「それほどひどくなかったはず」とは言えません。ちゃんと働いた人間が、労働を売るだけでなく、その上に上がれるという道筋を誰も用意してこなかったことがよくない。

昔の労働者にはオンとオフがあった

中村淳彦(なかむら あつひこ)/1972年東京都生まれ。アダルト業界の実態を描いた『名前のない女たち』『職業としてのAV女優』『日本の風俗嬢』『女子大生風俗嬢』『図解日本の性風俗』など著書多数。フリーライターとして執筆を続けるかたわら介護事業に進出し、デイサービス事業所の代表を務めた経験をもとにした『崩壊する介護現場』『ルポ中年童貞』が話題に

中村:炭鉱労働者と今の介護職を比較すると、日本の劣化を感じるね。多くの介護職は、低賃金や長時間労働で、遊びに行くおカネも時間も与えられない。精神疾患にさせられても、休暇どころか病院に行く時間もない。労働組合すらない。軍艦島の歴史なんかを見ていると、昔の労働者の街には繁華街があってオンとオフがあった。労働組合が機能してストライキもあっただろうし。今の労働集約型の末端にいる低賃金層は未婚、恋人なし、友達なし、低賃金と、経済的貧困だけでなく、関係性の貧困も抱えているから何もできない。

鈴木:もし過去の失敗に学ぶなら、まずは適正な労働対価と、経営者や資本家に極端に富が集中しない枠組みを作ることです。それにしても、介護事業というのは、そこまで人材難なのですか。

中村:かなり異常な人材難でしょう。特に都市部。介護職は2025年までに40万~100万人足りないといわれていて、本格的に外国から連れてくる気でいる。日本人でその人数を集めるのは不可能だから。でも、外国人がわがままな団塊世代の高齢者を順調に介護できるとは思えないし、本当にどうなるのだろう。外国人を入れても地獄、入れなくても地獄だね。

鈴木:また使い捨てにするなら、いよいよ国家転覆みたいな話が現実的に感じる。国が産業で立国するに当たっては、必ず労働力が必要になる。けど、日本だけではなく、世界中の国でやってきたのが「使い捨て」。今現在で暴動が起こる国は、貧困のケアをしてこないで、ひたすら一部の者のために搾取を続けてきた国がほとんどです。

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