東京會舘、建て替えで「丸の内戦争」に挑む 商工会議所など周辺2ビルと一体で再開発

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東京會舘(左)は隣接する富士ビル(右)らと共同ビルを開発する

東京會舘は宴会場・結婚式場・レストランの名門。1920年(大正9年)、海外来賓を迎える民間施設として帝国ホテルと並び、国際社交場を目的に設立された。60年にパレスホテルが分離独立。収益柱の本館のほか、浜松町東京會舘、如水会館を展開。大手町アーバンネットビルなどにレストランなどの営業拠点も持ち、贈答用菓子や宝飾衣類の販売も行っている。

休止する本館部分の12年3月期の売上高は49億円で、同期連結売上高96.5億円の50.8%を占める。従業員も全体(同期、514人)の46.7%にあたる240人が配置されており、文字通り収益柱だ(休業中は人員の配置転換などを検討中)。

12年度は年金費用で赤字だが13年度は黒字化

東京會舘の今13年3月期は、東日本大震災後の宴会の自粛などがなくなり、婚礼、宴会とも堅調で増収基調。ただ、丸の内周辺ではパレスホテル、東京ステーションホテルが相次いでリニューアルオープン。「初年度効果」で客が真新しい施設へシフトした側面もあり、足元の稼働が想定をやや下回った。

12年11月からの日本橋三越本店本館の特別食堂「日本橋」の運営受託が上乗せするが、出店費用もかさんでいる。退職給付関連の一括処理で3.2億円を計上することもあり営業利益段階から赤字転落。建て替えに伴う営業停止も勘案して、繰延税金資産の回収可能性(将来収益見通し)を見直した結果、同資産の取り崩しも行うため、最終赤字は12億円程度まで拡大する。

ただ来14年3月期は、こうした後ろ向き処理がなくなり、収益回復を予想する。「日本橋」の運営受託が通期寄与するほか、株価上昇による資産効果もあり、婚礼、宴会にも明るさが見えてくると期待される。他ホテルの「初年度効果」の反動もあるはずで、サービスなどソフト面も含め巻き返しを図る。前期の退職債務処理が消えるほか、固定資産譲渡特損を見込まないため、利益も黒字化を予想している。

建て替えに伴う14年秋の本館営業終了まで、現本館が落成した(1971年12月)当時の料理や、サロン音楽会の復活など懐古的なイベントを多発。当時を懐かしむシニア層の利用増も狙いながら、営業終了までの高稼働を維持したいところだ。

山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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