鉄道8社がタッグ!「東武」SL復活の本気度

日光・鬼怒川の新たな「目玉」になれるか

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特急「りょうもう」号の停まる線路の横をゆっくり進むトレーラー。シートをかぶっている大きな積み荷は蒸気機関車C11形207号機だ

東武のSL復活運転プロジェクトは、JR北海道から借り受けたC11形207号機を使用し、東武鬼怒川線の下今市~鬼怒川温泉(ともに栃木県日光市)間12.4kmでSL列車を走らせる計画。運転開始は来年夏を目標としており、土休日を中心に1日3往復、年間140日程度の運転を予定している。

守都さんによると、プロジェクトは3-4年ほど前に始動。すでにSL列車を運転している鉄道各社に相談する中で、JR北海道とタイミング良く条件が一致したことから同社保有のC11形207号機を借り受けることにしたという。

SL以外の車両は、客車をJR四国、補助のディーゼル機関車をJR東日本から譲り受けるほか、SLを東武線での運転に対応させるためにATS(自動列車停止装置)を積む「車掌車」はJR貨物・JR西日本から譲渡を受けた。また、すでに東武にはSLを動かせる機関士や検修員がいないため、人材の教育はSL運転で実績のあるJR北海道や大井川鉄道(静岡県)、秩父鉄道(埼玉県)、真岡鉄道(栃木県)の協力を得るなど、全国各地の鉄道会社が関わる一大プロジェクトだ。

さらに、復活の目的の一つである「鉄道産業文化遺産の復元・保存」のために、SLの方向転換に必要な転車台も長門市駅(山口県長門市)、三次駅(広島県三次市)にあるものをJR西日本から譲り受けて移設。SL列車の拠点となる下今市駅は全面改修し、南栗橋車両管区にはSLの検査を行う検修庫を新設するなど、施設面にも力が入っている。

すでに各地を走るSL列車

東武のSL復活で魅力となる点の一つは、都心から近いことだ。起点となる下今市駅までは、浅草から特急で約1時間40分。東武にはJR線に乗り入れて新宿と日光を結ぶ特急も走っており、都心部からのアクセスは良好だ。東日本大震災以降の観光客数減少や、昨年秋の豪雨災害で被害を受けた日光・鬼怒川地区の新たな観光資源として、地域からも大きな期待を集めている。

だが、すでにSLの保存運転は国内各地で行われているのも事実だ。現在、SLを運行している鉄道会社は7社。関東地方では秩父鉄道(埼玉県)と真岡鉄道(栃木県)、JR東日本で、ここに東武も加わることになる。

都市部からのアクセスの良さという点では、秩父鉄道が「都心から一番近い蒸気機関車」をセールスポイントに掲げている。同鉄道のSL列車「パレオエクスプレス」の起点となる熊谷駅にはJR高崎線・上越新幹線が乗り入れ、東京からは普通列車でも約1時間10分の距離だ。

さらに今年5月には、線路のつながっている西武秩父駅への乗り入れが初めて行われ、西武の特急「レッドアロー」と同じホームにSL列車が停車。セレモニーで秩父市長は「レッドアローからSLに直接乗り換えられることで、東京から一番近い(SLの)駅になる」と述べた。

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