歯を失ったあの人がすがる「移植」という選択 条件がそろえば最も自然な治療になる

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1.抜かなければならない歯の周りの骨の状態がいい

歯を抜いた後、その周りに移植するための歯が植えられる骨が残っている必要があります。歯の根の病気や歯周病で歯の周りの骨が大きく壊されている場合があります。そのような骨の状態ですと歯を移植しても歯を固定する場所がなくて移植ができません。ですので、移植を行う場合は、移植したい部位の骨の状態がいいということは絶対条件になります。 

2.歯牙移植できる歯がある

歯牙移植するには移植できる歯が必要です。多くの場合、親知らずを使うことが多いのですが、かみ合っていない過剰歯や、転移歯、埋まっている埋伏歯などを使うことがあります。

3.歯の大きさ

移植する歯の幅が合わないと出来ません。抜いた歯を移植する場所の骨の幅が合えば移植は可能になりますが、大きすぎても小さすぎてもできません。できるだけ大きさが近いことが条件になります。

その他に、移植する歯の根の形状が単純であることや、お口全体の歯周病の治療が行われて入りなど条件はいろいろあります。このような条件がクリアできていれば非常に有効的な治療法です。

歯牙移植のメリットは?

歯牙移植のメリットはどこにあるのでしょうか。いくつかご紹介します。

1.歯を削る必要がない

ブリッジ治療のように、隣り合う健康な歯を削って被せるなどの処置が必要ないため、非常に体に優しい治療法といえます。

2.良い噛み合わせを作りやすい

歯根膜組織も一緒に移植し再生させるため、インプラントとは違い自然とお口の中の噛み合わせになじむため、良好な噛み合わせを作りやすいといえると思います。

3.保険適応になることもあるため、比較的安く治療できる

保険診療3割負担の人で5000円から1万円前後程度になります。レントゲンやCTレントゲン、親知らずの状態によっても金額は変わりますが、インプラントなどに比べると比較的安いと言えます。ただし、その後、根の治療や被せ物の費用がかかります。

そして、保険診療で歯牙移植を行うためには、移植する歯は親知らずか埋伏歯(歯茎の中に潜っている歯)である必要があります。八重歯や内側に倒れている転移歯などは保険診療内では歯牙移植を行うことができなくなります。

このようにメリットも多い歯牙移植ですが、さまざまな条件が整わなければできない治療でもあります。予後の判定も難しいとも言われているため、インプラント治療のほうが多く行われているのが実情です。しかし、10代、20代といった若い人の場合はインプラントを選択するよりも、できるだけ歯牙移植を行いたいものです。歯牙移植はメリットが多いのも事実です。抜いたままにしている部位があったり、抜かなければならない歯があったりして悩んでいる人は、一度かかりつけの歯医者さんに相談してみると良いでしょう。

小林 保行 歯科医師/キーデンタルクリニック院長

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こばやし やすゆき / Yasuyuki Kobayashi

2004年東京歯科大学歯学部卒業、表参道の総合歯科医院に勤務。2006年市谷の歯科医院にて副院長として勤務。2008年に赤坂見附駅から徒歩1分の場所にキーデンタルクリニックを開院しました。開院以来、「確かな技術で納得の治療を」モットーに、あごや歯の場所を細かく分析をし、歯だけでなく口回りを総合的に診断。現在はムシバラボというサイトを立ち上げ、歯や口周りの情報を発信。主な資格はDHA岩田セミナー認定医、総合治療セミナー「一の会」認定医、クリアアライナー矯正認定医、日本顎咬合学会所属、日本インプラント学会所属、消防庁認定、救命技能講師修了。

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