東芝の社長交代、絡み合う思惑

西田会長が留任、佐々木氏は新設の副会長に

会見の冒頭、西田会長は「(佐々木社長が)継続して利益を出せる企業体質に導いたのは大きな功績。田中氏にはもう一度、成長路線に戻して幅広い経験と豊富な国際経験を生かし、東芝がグローバル企業に飛躍できるようリーダーシップを発揮してほしい」と発言した。確かに09年6月に佐々木氏が社長に就任して以来、東芝は4期連続の減収。08年3月期に7兆6680億円あった売上高は、12年3月期には6兆1000億円まで落ち込んでいる。

「利益が出ていても売上高が落ちてはダメ」

しかし、東芝は、09年3月期に3435億円という過去最悪の最終赤字を計上して最大の苦難に直面していた。火中の栗を拾う形となった佐々木社長は、大規模なコスト構造改革で4300億円の固定費を削って事業立て直しに奔走。11年3月期には過去最高益を計上し、黒字体質を定着させている。減収となった背景には、携帯電話や中小型液晶の事業売却や円高も影響している。それでも会見後、記者団に囲まれた西田会長は「利益が出ていても売上高が落ちていてはダメだ。企業は成長しないといけない」と漏らした。

佐々木則夫社長は東芝の恒例に沿って4年で退く

2つ目に意外だったのは、副会長というポジションが新設された点だ。西田会長は留任する理由について「周囲から会長を引き続きやってほしいと言われた。さらに佐々木社長は国や経済界の重職に就き、社外活動で大変忙しくなることを考慮した」と説明する。確かに佐々木社長は政府の経済財政諮問会議の議員を務めるほか、6月には日本経済団体連合会の副会長に就任することが内定している。今後の財界活動が忙しくなることは間違いない。

東芝にとって副会長というポジションは1949年の株式上場以来、初となる。異例の3トップ体制の背景には指名委員会の強い意向もあったとするが、仕事内容は「会長からの特命事項を担当する」であり、具体的なイメージが湧いてこない。トロイカ体制との指摘に対しては、「取締役と執行役が分かれており権限は新社長にある。ガバナンスに問題はない」(西田会長)と完全否定する。それにしても会長と副会長はどう違うのか、役割分担がいまいち分かりにくい。

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