アローラ氏の「退職金68億円」は妥当なのか 在任わずか1年10カ月にもかかわらず…

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退職金まで手にすることになったアローラ氏。最後まで十分な説明はなかった(撮影:尾形文繁)

在任わずか1年10カ月。6月22日の株主総会後に退任したソフトバンクグループのニケシュ・アローラ元副社長に、68億円もの高額退職金が支払われることが明らかになった。

7月28日に同社が発表した第1四半期(4~6月期)決算短信で公表したものだ。退職金は2017年6月と2018年3月の2回に分けて支払われる予定で、その時の株価に基づいて支払額が決定される。

68億円の内訳は、株価に基づいて決定される18億円と、支払額が確定している50億円。前者については、今年6月末のソフトバンク株価を基に算出し、第1四半期で全額を費用計上している。このため、今後、株価が上がると支払額が増え、損失を追加計上する。逆に、株価が下がると支払額が減るので、費用の戻入れが発生する。

なぜなのか? 「そういう取り決めです」

このほか、ソフトバンクは、アローラ氏が保有していたソフトバンク関連会社株を107億円で買い取った。買取額は「直近の取引事例を参考に、交渉の上決定した」としている。関連会社とはどこなのか。会社側は「社名は非開示」としている。

アローラ氏はかつて、あまりにも高額な年俸が注目された人物である。2014年9月にソフトバンクに入社した際は初年度に165億円の年俸を得ている。翌期は80億円と半減したが、他の取締役と比較すると、最も高いロナルド・フィッシャー氏の4倍。孫正義社長との比較では61倍強だ。

わずか1年10カ月の在任だったアローラ氏になぜ68億円もの巨額退職金を支払うのか。退任後もなお、来年、再来年と退職金を払い続けるのはなぜなのか。会社側は「そういう取り決めです」と答えるのみである。

アローラ氏は超高額の年棒を受け取りながら、短期間で突然退任し、さらに巨額の退職金まで手にすることになった。結局、いずれについても孫社長から十分な説明がなされることはなかった。拭い切れない不透明感とともに、アローラ氏はグループを去る。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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