ドコモ襲来に先手、auもiPhone下取りへ 独自取材で明らかになったスマホ戦略

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ドコモの逆襲を警戒

KDDIとソフトバンクはアイフォーンをめぐる、わかりやすいライバル関係だ。新端末を購入する際、最大2万円で旧端末を下取りするサービスもソフトバンクが生み出したもの。単純に考えれば、ソフトバンクを意識した対抗策に見える。

ところが、冒頭に記したように、KDDIが意識しているのは、ドコモのアイフォーン参入だ。ドコモは現在、顧客獲得競争で独り負けが続いている。昨年11月には携帯電話の契約数が5年3カ月ぶりの純減となり、1月にも純減を記録した。他社への顧客流出、特にKDDIへの流出が顕著だ。KDDIにとって新規ユーザー獲得の源泉といっていい。

もちろん、ドコモも対策を打っている。足元で販促費を積み増しただけでなく、ソニー「エクスペリアZ」、パナソニック「エルーガX」など多彩なアンドロイド機をそろえ、ユーザー流出にブレーキをかけようと必死だ。

アイフォーン導入も否定していない。加藤薰社長は「アイフォーンは魅力的な端末。販売台数の2~3割など、ラインナップの一つとして扱えるなら導入の可能性はある」と繰り返している。

ドコモがアイフォーンを扱えば、ユーザー流出が止まる可能性は高い。それどころか、アイフォーン5が対応するLTE(次世代高速通信網)の構築で先行していること、全国規模で圧倒的なブランド力を誇ることから、流出したユーザーがドコモに逆流する可能性も高い。ソフトバンクには下取りという流出を防ぐ武器がある以上、同じ武器を用意したほうがいい、とKDDIは判断したわけだ。

ドコモとアップルがアイフォーンの販売開始で合意できるかどうかは不明だ。08年の当初の交渉で決裂した際のしこりが残っており、アップルはドコモを毛嫌いしているともみられている。しかし、いっそうのシェア拡大には全キャリア対応の意義が大きいことも間違いない。Xデーに備え、KDDIは警戒モードに入っている。

週刊東洋経済:2013年2月23日号

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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