今は踊り場、為替は90円台の円高に向かう 米FRBの次の一手が「利下げ」になるとき

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こうした認識の下、筆者の相場観は変わっていない。むしろ、筆者が最も恐れているのは円安へのオーバーシュートではなく、円高へのオーバーシュートである。

具体的には、現段階でFRB(米国連邦準備制度理事会)の「次の一手」がまだ建前上は利上げとなっていることは不安に思える。議事要旨などを見る限り、FOMC(米国連邦公開市場委員会)では既に米経済の構造的停滞を念頭に置いた議論も出ているように見受けられ、だとすれば、利上げプロセスは相当緩やかなものにならざるを得ない。

FRBの次の一手が「利下げ」となったら?

いや、利上げを検討できる状況ならばまだ良い。既に米景気の拡大局面が約7年間に及んでいることを思えば、「次の一手」が本当に利上げなのかどうかも疑わなければならないのではないか。端的に言えば、利下げの可能性を視野に入れることになるが、その場合、まずは2013年以降続いている正常化プロセスの休止を示唆する声明文へ修正されることになるだろう。これに応じてドル円相場が二桁定着に至るというのが今後1年間についての筆者のメインシナリオである。

円高へのオーバーシュートが起きるとすれば、さらにその先であり、本当に「次の一手」が利下げ(又は緩和)であることが示唆された場合である。その際は90円を守れるかを議論するステージに入ってくる。こちらはまだ今後1年間で発生する可能性が低いリスクシナリオと考えるが、目の離せない論点と思われる。

唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

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からかま・だいすけ / Daisuke Karakama

2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中。

※東洋経済オンラインのコラムはあくまでも筆者の見解であり、所属組織とは無関係です。

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