今年最大のLINE上場、時価総額1兆円 終値は4345円と伸び悩み 初値での時価総額は約1兆円
[東京 15日 ロイター] - 韓国ネイバー<035420.KS>傘下の無料対話アプリ会社LINE<3938.T><LN.N>が15日、東証1部に新規上場した。初値は公開価格3300円を48.4%上回る4900円。初値での時価総額は約1兆円と、今年最大の新規株式公開(IPO)となった。一時、5000円まで上昇し、先に上場したニューヨーク市場よりも好調な滑り出しとなったが、徐々に伸び悩み、終値は4345円にとどまった。
内藤証券・投資調査部長の田部井美彦氏は、LINEの好調な初値形成について「米市場が堅調な値付きだったため、東京市場で買い安心感が広がったほか、円安進行を背景に日経平均も上昇しており、地合いの良さが追い風となった」と指摘する。初日の売買代金は1049億円とトヨタ自動車<7203.T>の781億円を上回る人気ぶりとなった。
また「大口の機関投資家などに公募の割り当てが少なく、セカンダリーの買い需要を生んだ」(国内証券)との見方も出ている。公募株数は海外の2200万株に対し、国内では1300万株と少なく、そのうち機関投資家への割り当ては13%にとどまった。
LINEは4日、投資家の需要の強さなどを反映し、1株当たりの仮条件を従来の「2700─3200円」から「2900─3300円」に引き上げた。公開価格は仮条件上限の3300円だった。
ただ、初値形成後は上げ幅を縮小。ニューヨーク市場での終値41.58ドル(約4380円)にさや寄せする形となった。
今後の展開について、ちばぎんアセットマネジメント調査部長の奥村義弘氏は 「シェアが大きい日本では期待先行で初値も堅調だったが、グローバルに見れば競合相手も多く、今後の成長性が見えにくい。利益が追い付かないと株価の上値も重くなる」とみる。
同社の2015年通期の売上高は前年比39.6%増の1207億円。対前年で2.18倍の増加となった14年通期と比較すると、業績の伸びは鈍化。きょう終値ベースの株価収益率(PER)は233倍、株価純資産倍率(PBR)が42倍と、バリュエーションでは説明が付けにくい水準だ。
一方、LINE関連株は大幅安となった。LINE内の仮想通貨の販売で代理店契約を締結するアドウェイズ<2489.T>がストップ安となったほか、GMO TECH<6026.T>、ネットイヤーグループ<3622.T>、フリークアウト<6094.T>、ネオス<3627.T>なども軒並み10%超の下げとなった。
松井証券シニアマーケットの窪田朋一郎氏は「LINEが上場したことにより、LINE関連は物色テーマとしては終わりを迎えた。アドウェイズなどの貸株料が急上昇しており、空売りを仕掛けたい投資家が多いことを示している」と述べている。
LINEの出澤剛社長は同日の上場会見で、当面は月間アクティブユーザー数(MAU)が順調に伸びている日本と台湾、タイ、インドネシアの4カ国に注力する方針を表明。「4カ国でスマートポータルを完成させて、さらなる展開をしていく」などと語った。
*内容を追加しました。
(杉山容俊 編集:伊賀大記)
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