焦点は生活保護と地方公務員給与のカット 大詰めの2013年度予算編成

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大型経済対策との整合性をどうつけるのか

景気浮揚は安倍政権の「1丁目1番地」。財政規律は確かに重要な問題だが、安倍政権は少なくともこれまで、短期での財政健全化は棚上げにしてでも、景気の立て直しを最優先するとのメッセージを発してきたように見える。

「景気の気は気分の気で、気持ちの問題が大きい」。主要閣僚がそう繰り返していることからも、金融緩和、財政出動、成長戦略による「3本の矢」は、市場の期待に働きかけるアナウンスメント効果を狙った側面が色濃い。

「補正予算は乗数効果よりも早期に執行可能かどうかを重視した」(財務省関係者)という背景もあり、補正予算は金額のわりに需要を生み出す効果が小さい可能性がある。こうした流れの中で、本予算では一転して歳出カットに舵を切った判断を、安倍政権はどう説明するのだろうか。

さらに、補正予算では、本来2割であるはずの70〜74歳の医療費窓口負担を1割の特例のままに据え置いた。これによる毎年の財政負担は約2000億円。こうした特例措置を温存する一方で、生活保護費や地方公務員給与の削減に踏み込むことの合理性をどう説明するかも、来週1月29日に控える13年度予算案決定をめぐっての注目点になりそうだ。

長谷川 高宏 東洋経済 記者
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