マツダとアルファロメオ、蜜月に至った理由 大手に寄りかからず、独自の地位を狙う

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国内ではトヨタ自動車との関係を深めている。今年中にもトヨタからハイブリッドシステム提供を受けた新型車を発売するほか、15年からはメキシコに建設中の新工場で、トヨタ向けにOEM(相手先ブランドによる生産)供給を開始する。OEMするのは「デミオ(海外名Mazda2)」をベースとした小型車で、年間5万台規模で開始する。トヨタは北米市場向けに販売する計画だ。マツダはトヨタから生産台数分に応じた設備・開発資金の提供を受ける。

フォードとの資本関係縮小で後ろ盾失う

マツダはかつて米フォード傘下にあったものの、リーマンショックを受けたフォードの経営悪化により、10年に資本関係を大幅に縮小した。生産の合弁なども順次解消しており、その結果、マツダは、大手資本の後ろ盾を失った格好になっている。グローバルでの競争が一段と加速する中で、新たな資本的な提携の観測は絶えないが、山内孝社長は「さまざまな事業提携は進めるが、資本的な提携は考えていない」と、独立路線の維持を強調している。

マツダはグローバル販売シェア2%(現1.5%程度)という、顧客層を絞ったニッチ戦略を標榜し、独自の地位を確立しようとしている。大手に寄りかからずにそれを貫くための一つの答えが、トヨタやアルファロメオなどとの緩やかな連携を築いていくということにありそうだ。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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