むしろ、株主の質問が集中したのは、イギリスのEU離脱といった外部環境の変化にどう対応するのか、今年発表した中期経営計画における事業の方向性についての事柄だった。
総会の所要時間は1時間42分(前回は65分)。会場に訪れた株主は409名(同386名)で、12人から21の質問が行われた。会社側が提示していた、剰余金の配当、定款の一部変更、取締役11名の選任、監査役4名の選任、補欠監査役1名の選任という5つの議案は、すべて賛成多数で承認された。
経営陣と株主の主なやりとりは以下の通りだ。
――イギリスの国民投票でEUからの離脱が決定された。外国の売上高比率が大きいが、これからどのように経営していくのか。
笹宏行代表取締役:少子高齢化、新興国への産業のシフト、医療費の抑制など大きなトレンドは環境が変わっても継続するものととらえている。だが今回のような激震にも適切にスピーディーに対応していく。
――中期経営計画に対する心構えを教えて欲しい。経営陣は「業務の適正を確保するための体制」を、どのようにやっていこうと考えるのか。
竹内康雄取締役:5年前の(不正会計)事件以降、コーポレートガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底への取り組みを注力してきた。我々の真剣な取り組みを信用してほしい。コーポレートガバナンスについては、取締役会の構成を大きく変え、今回も過半数の方に社外から参画してもらい、適切なご指示を賜りたいと考えこの体制を保ってきている。
「会計不正の和解金額は安すぎる」
――キヤノンが東芝メディカルシステムズを買収した。オリンパスは医療事業として何を強くしていきたいのか。また買収や提携は考えていないのか。
田口晶弘取締役:当社でも東芝メディカルの買収を検討したが、事業領域が大きくかけ離れており、金額的にも難しい。
今後、我々の1番大きなところである早期診断、低侵襲治療を軸としていく。事業領域としては消化器科呼吸器科、外科、泌尿器科産婦人科、耳鼻咽喉科、医療サービスの5つに資源を集中していく。M&Aも積極的に検討し、拡大に向けた投資を行っていく。
――トップ中のトップしか知らない内容が漏れていく状況を心配している。こういう状況を経営として、どうとらえていているのか。
平田貴一執行役員:社内で取り扱う情報については、情報セキュリティ方針にもとづき、会社の保有している情報を3種類に分類し、それぞれの情報群に対して備えるべき情報システムの要件を定義している。社内で定期的に点検を実施し、対応を行っているかチェックをしている。社員教育では毎年2回、情報セキュリティ教育を全社員に向けて実施している。
――(2011年に発覚した)会計不正に関してオリンパスが旧取締役を相手に行った訴訟について。今年に一部和解が行われたが、和解金額は旧取締役13名に対して計7190万円、旧監査役4名に対して計1280万円。安すぎるのではないか。
斎藤隆監査役:今回和解した対象は直接損失隠しに手を染めていた当事者以外の役員である。残りの実際に手を染めた人に対する訴訟は続いている。裁判所から和解の勧告を受け、和解条項の内容を詰めた。金額についてもこれまでの日本の和解事例と当事者の支払い能力を勘案して決定した。
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