沖縄戦体験者の4割がPTSDに苦しんでいる 「君が代が流れると身体が震える」
沖縄戦を体験した高齢者の4割がPTSD──。衝撃的な調査結果を提示した精神科医は「基地の存在が今なお、沖縄の人々の心に打撃を与えている」と語る。
「震災も戦争も、心に与える傷は共通する部分が多い」
待合室には、かすかに耳に届く音量でクラシックが流れていた。室内を照らす柔らかな光が心を落ち着かせてくれる。
予約でびっしり埋まった一日の診察が終わる平日の夜。福島県相馬市の「メンタルクリニックなごみ」の院長、蟻塚亮二さん(69)は温和な表情で迎えてくれた。
蟻塚さんがクリニックに赴任したのは、東日本大震災後の2013年4月。市内で唯一の精神科診療所は東京電力福島第一原発から北約40キロの位置にある。毎月700人ほどの患者が訪れ、心身の不調を訴える。
「震災も戦争も、心に与える傷は共通する部分が多いんです」
静かにそう語る蟻塚さんの認識は、診察現場での経験に裏打ちされている。
福島に赴任する前、蟻塚さんは沖縄の病院で精神科医として勤務していた。このとき、元大学教授らとともに発表した調査結果が沖縄社会を揺さぶる衝撃を与えた。
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