百貨店とアパレル「不合理な商慣習」の正体

委託販売はなぜ重宝されてきたのか

ずっと前からあった問題です(写真:kou / PIXTA)

「シーズン商品でありながら正価で売り切れないものが作られ、値下げしてバーゲンで販売されている」

これは日本のアパレル産業が直面している大きな課題です。経済産業省が6月中旬にまとめた報告書に記された内容の1つであり、同報告書では「ほかの産業と比較してサプライチェーンを構成する企業の結びつきが弱く、ほかの産業では見られないような合理的でない商取引慣行が残存している」「(その結果として)売り上げ・収益の低下→コスト削減とリスク回避→商品陳腐化→消費意欲の減退、という負のスパイラルが集積して市場が縮んでいる」などとも分析されています。

経産省は今回の報告書をきっかけとして、アパレル業界の不合理な商慣習の是正を進めていきたい考えのようですが、筆者のようなアパレル関係者からすると、このような問題は30年以上前から顕在化していたことを指摘できます。

「不合理な商慣習」とは?

そもそもアパレル業界を疲弊させている「不合理な商慣習」とは一体何でしょうか。代表例の1つが百貨店とアパレル企業の間で一般的に行われている「委託販売」、古くは「派遣店員付委託取引」とも言われてきた取引慣行です。アパレル業界で30年以上にわたって働いた経験がある筆者から見ても、これは小売り側が売れ残りのリスクを負わずに過剰な注文・在庫が生じやすい要因と指摘できます。

そもそもすべての産業が急激な成長を遂げる戦後の日本において、ファッション産業も同様に「作れば売れる」という状況がバブル期まで続きました。アパレルメーカーが売り上げを上げるためには、できるだけ多くの在庫を投入する必要がありました。かたや百貨店側も売り場の品不足を補うためにはボリューム感のある品ぞろえが最優先課題でした。

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