淘汰進む韓・中造船 消耗戦でも大手は残る 台頭したアジア造船産業の今

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中小造船所は淘汰 中堅にも危機が拡大

 今回の造船バブル崩壊で、真っ先に打撃を受けたのは韓国の新興・中小規模の造船所。船の新規受注が止まると、すぐ資金が回らなくなり、一時は約20社に上った新興・中小造船所のほとんどが経営破綻した。

不況は中小造船所から中堅企業にも広がりつつある。韓国7位の韓進重工は昨年、国内での新造船事業撤退に追い込まれ、同5位の成東造船海洋と6位のSPP造船は銀行管理に陥った。バブル期に相次ぐ買収で韓国有数の財閥に躍進した4位のSTXグループは、今年、資金不足で事業の切り売りを迫られている。つまり、大手3社以外が軒並み経営危機に陥っているのが、韓国の現状だ。

中国も淘汰の真っただ中にある。中国船舶工業行業協会によれば、同国の造船所と関連企業約1600社のうち今年1~6月期で2割強の347社が赤字だ。受注がなく「破産や人員削減など、中小企業の状況は日に日に深刻化している」(同協会)。国営造船グループ、中国船舶工業集団公司(CSSC)の譚作鈞総経理は、現地の新聞で「2~3年で中国造船所の半分が倒産する」との予測を示した。

韓国と中国は、大手とそれ以外の建造能力の格差が大きい。中国は国営2大グループと民営大手の建造量が国全体の7割近くを占めており、韓国は上位3グループだけで国内シェア7割を握る。今、淘汰が進んでいるのは、これら大手以外の3割部分、体力や競争力で劣る企業群だ。

「(今の価格では)当社も赤字。だが生産量を維持するには受注しなければならない」。CSSC傘下の上海外高橋造船の黄永錫董事長は危機感をあらわにする。熾烈な受注競争の末に、足元の船価は、生産コストの最も安い中国にとっても採算割れの水準に落ち込んでいる。

赤字受注の消耗戦が始まり、淘汰の主役は大手に移ろうとしているかに見える。今年1~6月期決算では、韓中の主力大手が軒並み減益に転じ、不況の影響がいよいよ出始めた。

だが、なすすべもなく不況にのみ込まれた中堅以下の造船所と違い、大手は手を打ってきた。その一つが、造船の低迷を埋める事業多角化だ。

韓国造船最大手の現代重工は、造船事業の社内売り上げシェアを今後、半分の20%にまで下げる計画。「成熟段階の造船業より、非造船分野の売り上げが増えていくのは自然な成長パターンだ」。李載星社長はそう説明する。

日本を“反面教師”に 国策で大手に集約へ

 現代重工をはじめ、韓国大手が成長事業と位置づけるのが、海底油田・ガス田開発に用いられる洋上プラントや掘削設備などの海洋構造物だ。資源開発ブームで需要が高まっており、1件当たり数百億円規模の大型受注が相次いでいる。韓国2位のサムスン重工では、数年内に造船と海洋構造物の売り上げが逆転する見通しで、「海洋構造物は有望市場」(魯寅植社長)と期待をかける。

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