平壌の商品見本市にみる北朝鮮経済の現実 経済制裁下でも消費意欲は向上している
この展覧会は、当初は海外企業からの参加社数が多かったが、金正恩政権になった2012年以降は北朝鮮企業の参加が顕著に増えてきた。
そんな北朝鮮企業の一つ、勝利(スンリ)自動車連合企業所はトラックなど商用車メーカーだ。「わが車が製造する自動車は性能がよく、燃費も他のメーカーと比べてはるかによい。設計から技術、生産工程に至る全過程を100%、われわれのやり方で行っている」と、同社自動車組立職場の韓孝善(ハン・ヒョソン)職場長は胸を張る。
勝利自動車連合企業所の主力の一つは、5トントラックだと韓職場長は言う。また、経済制裁の影響は受けているかとの質問には、「帝国主義者の悪らつな制裁に、わが社の生産にも支障を来した」と打ち明ける。だが、「(北朝鮮内の研究所である)国家科学院や金策工業総合大学、平壌機械総合大学などの教員や研究員と、わが社の工程技術士、従業員などが総力を挙げて100%、自分たちの設計と技術者で製造できるに至った」と説明する。
5月6~9日に36年ぶりに開催された朝鮮労働党第7回大会で、金正恩・党委員長から「国家経済発展5カ年戦略(2016~20年)」が出された。そのためか、韓職場長は「現在より2倍の積載量を持つトラックをできるだけ早く製造できる体制を整え、5カ年戦略期間中に生産を増やしたい」と意欲を見せた。
外国企業も「平壌市民からの反応に手応え」
海外から参加した企業の反応はどうか。シンガポールの食品会社「エイリンクズマーケティング」(Alinkz Marketing)取締役のトゥリシア・コー氏は、「初めて展覧会に参加した。わが社はお菓子やオリーブオイル、缶詰、冷凍食品などを生産・販売しているが、平壌市民からの反応に手応えを感じている。展覧会初日にも多くの食料品を買ってもらえた。シンガポールに帰国してからも、北朝鮮という市場に関心を持ち続ける」と述べた。
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