駅の「バリアフリー化」どのくらい進んでる? 2020年度までに「段差」は解消できるのか
段差の解消で求められているのは、乗り場ごとにエレベーターやスロープなどバリアフリー化された経路を最低1ルート以上確保すること。「適合した設備による段差の解消」とは、たとえばスロープの勾配が12分の1以下であることや、エレベーターの開閉とびらに窓があり、かご内に手すり等が設置されているなど、設備に対するさまざまな基準を満たした経路を1ルート以上確保することだ。
ちなみに、必ずしもエレベーターなどを新たに設置しなければいけないわけではない。昔ながらの駅ではホームと駅舎の間などを踏切で結んでいるケースがあるが、国交省鉄道局技術企画課によると、こういった駅の場合でもスロープなどが基準を満たしていれば「適合した設備による段差の解消」が行われていることになるという。
2015年3月末時点のデータでは、JR旅客6社では1日の利用者が平均3000人以上の駅は計1204駅あり、このうち段差が解消されているのは1035駅で全体の86%、基準に適合した設備によっているのは1001駅で83.1%だ。一方、大手私鉄15社では、段差が解消されているのは1171駅中の1117駅で95.4%、基準に適合した設備による駅は1042駅で89%となっている。路線が都市部に多い大手私鉄は、全体的に見ても駅のバリアフリー化が比較的進んでいるといえそうだ。
利用する際に段差が避けられない地下鉄は、段差の解消自体は進んでおり、10社局の計611駅中609駅で達成している。だが、基準に適合した設備による場合は529駅まで減り、全体の86.6%だ。地下鉄の場合、新たに地下空間でバリアフリー設備を設けるためには大がかりな工事が必要になる点も大きいだろう。ちなみに100%達成しているのは仙台・横浜・京都・大阪・福岡の各市営地下鉄。特に、大阪市営地下鉄は全100駅すべてで基準に適合した設備での段差解消を実現している。
バリアフリー化が「住みたい駅」の要素に?
2000年に交通バリアフリー法が施行された当初の目標は、1日当たりの平均利用者数が5000人以上の約2800駅についてバリアフリー化を行うことだった。2002年度末の時点で達成率は約33%に留まっていたが、2011年度末の時点では約9割を達成。現在は対象が3000人以上の駅に広がっている。
とはいえ、目標の2020年度まではあと4年。残る約500駅を「基準に適合した設備」によって段差の解消を図るにはハードルも高そうだ。駅のバリアフリー化は鉄道会社だけでなく、国や地方自治体との連携によって行う事業であり、地域による支援が重要になってくる。
超高齢化社会に突入する中、駅をはじめとする鉄道や公共交通のバリアフリー化は必須の課題だ。いずれは、バリアフリー設備の充実度が「住みたい駅」を決める要素の一つになってくるかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら